「二塁打王」阪神・佐藤輝が決めた 9回2死「回ってくると思った」逆転V撃! 4連勝や今季最多貯金13

[ 2023年5月25日 06:30 ]

セ・リーグ   阪神6―5ヤクルト ( 2023年5月24日    神宮 )

<ヤ・神>逆転勝ちに笑顔の佐藤輝(中央)ら阪神ナイン(撮影・沢田 明徳)
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 「二塁打王」が決めた!阪神・佐藤輝明内野手(24)が、24日のヤクルト戦で、1点を追う9回2死一、三塁から右翼線へ逆転2点二塁打を放ち、ミラクル劇の主役となった。4回の第2打席でも左翼線二塁打を放って得点機を演出しており、リーグトップに並ぶ12二塁打をマーク。猛虎は今季3度目の4連勝を飾り、同最多の貯金13を蓄えた。2位・DeNAが敗れたため、その差を3に拡大。ジワジワと「アレ」ヘ向けた独走態勢が整いつつある。

 佐藤輝の集中力は、極限に達していた。1点を追う9回。1番から始まる好打順も、近本、中野が凡退し、スタンドにはうっすらと敗戦ムードが漂っていた。だが、三塁ベンチにあきらめている戦士は誰一人いなかった。佐藤輝も「5打席目」の到来を確信し、心身を整えていた。

 「絶対回ってくると思って、準備していた」

 その思いが届いたのか。2死無走者からノイジーが右翼へのラッキーな三塁打を放ち、大山は執念で四球を選んだ。2死一、三塁。一打同点、長打で逆転の大チャンスを、仲間が用意してくれた。いつもなら力み返るシーンかもしれない。だがこの夜の背番号8はどこまでも冷静だった。

 「相手もいい投手。強い球を投げてくるのでしっかり捉えようと思った。しっかり早めにタイミングを取っていって、初球から積極的にいこうと思った」

 狙いはハマった。田口が投じた初球の内角高めの直球を鋭く振り抜き、右翼線へと運んだ。ノイジーの代走で出ていた三塁走者・植田は悠々と同点の生還を果たし、一塁走者・大山は長駆、本塁へと滑り込んだ。4連勝へと導く劇打。徐々にボルテージを上げていた神宮の杜は、一瞬にして興奮の渦と化した。

 「連勝も続いているので勝てて良かった。4連勝?ノッてます」

 0―1の4回1死一塁でも左翼線二塁打を放ち、その後の2得点につなげた。リーグ2位タイ8本塁打、同27打点に加え、ともに得点に絡んだ2本でリーグトップタイの12二塁打とした。前日23日は盗塁や満塁併殺崩れによる打点など「足」で魅せたが、この日は持ち前のバットで存在感を示した格好。三塁の守備も日に日に安定感を増し、ホットコーナーにドッシリと座る。開幕前に立てた「守備固めを出されないように守り抜く」という決意を胸に、全力で白球と白星を追う。

 「でっかい1勝やなあ。“大きい”より、もうちょっとデカいなあ。ええ?(笑い)」と岡田監督もこの1勝の価値をかみしめた。シーソーゲームを勝ち切った猛虎は7連勝の後、1敗を挟んで今季3度目の4連勝。2位・DeNAとの差も3ゲームに広げた。一気にセ界を抜け出しそうな勢いが、今の猛虎にはある。(八木 勇磨)

 ○…佐藤輝(神)の今季決勝打3度のうち、2度が神宮のヤクルト戦。21年4度、22年11度と合わせて決勝打は通算18度でヤクルト戦の4度は巨人戦に並んでカード別最多。すべて神宮で決めており、球場別の4度も本拠の甲子園6度に次いで、東京ドーム(巨3、D1)に並ぶビジターで最多と相性がいい。

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