かつての鷹守護神・馬原孝浩氏の“三刀流”生活 独立L監督、整骨院開業、野球解説者…忙しくても充実

[ 2023年5月24日 07:30 ]

選手への体の治療も行っている馬原監督
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 ソフトバンク、オリックスで通算182セーブを挙げた馬原孝浩氏(41)は故郷熊本でプロ野球独立リーグ、火の国サラマンダーズの監督として2年目を迎えている。また、引退後に柔道整復師、鍼灸(しんきゅう)師の国家資格も取得し、整骨院も開業。さらにプロ野球解説者としても活動中だ。かつての鷹の守護神が送る多忙な“三刀流”生活を聞いた。

 5月、熊本県合志市にある野球場。降りしきる小雨をものともせず、馬原監督はバットを握りノックを打っていた。2年前の投手コーチを経て昨年から監督に就任し、ヤマエグループ九州アジアリーグ優勝と独立リーグ日本一に輝いた。メンバーの半数が入れ替わった2年目も「なかなかいい雰囲気の中で今はやれています」と手応えを語った。

 監督として大事にするのは自主性だ。全体で取り組む時間は指導者の力量によるもので、伸び幅は少ないという。「超一流といわれる選手は、全体練習の時間より自分のやった時間で伸びる」と経験を基に語る。

 九共大時代は寝るとき以外はチームメートが遊びに出かけても、練習やトレーニングにいそしんでいた。「何かを犠牲にしないと絶対に得るものは少ないと思うので。“変人扱い”されるぐらい準備をしておかないと(NPBには)絶対に行けないので、意識してほしいところだとは思います」と語った。

 馬原監督は輝かしい活躍の一方で、右肩痛など12年間のプロ野球の半分以上、ケガと向き合ってきた。

 「NPBの世界はケガをしてからが本当の勝負なので。みんなどこか痛い状況でやっている。自分の場合は肩がどうしようもないところまでいったので」

 現役生活の終盤は解剖書を持ち運びながら、体について勉強もした。球団のトレーナーにレクチャーするほどになるなど、引き出しを増やしていった。

 引退後は本格的に身体のことを学ぶため専門学校に入学。猛勉強を重ね柔道整復師、鍼灸師の国家資格を取得した。現在はトレーニングメニューを作成。練習中には選手にノックを打ち、練習後は体のケアをするなど動き回る。「一人5役、6役する新しい監督像、指導者像をつくりたいと思っているので。やりがいはめちゃくちゃあります」と表情に充実感がにじむ。今年3月には馬原監督が監修した「縁鍼灸整骨院」を大学時代を過ごした福岡県北九州市の折尾に、今月28日には福岡市西新にオープンする。

 TVQ九州放送の解説者としても活動している。昨年は現役時代に在籍したソフトバンクとオリックスが最後まで優勝争いを繰り広げた。「(両チームともに)まだ顔見知りの選手も頑張っていますし、チームの環境も知っているだけにやはり気になりますね」と語った。コーチ陣は馬原監督と同世代が多くなってきているという。次回は交流戦開幕の今月30日、中日戦(ペイペイドーム)で放送席に座る。かつての守護神は、大忙しの日々を楽しんでいる。(杉浦 友樹)

 《来季からNPB2軍参戦方針か 運営会社が26日に会見》○…NPBは2024年シーズンから2軍に2球団の新規参入を公募しており、火の国サラマンダーズを運営するKPBプロジェクトは26日に熊本市内で記者会見を開き、取り沙汰されている「2軍参戦」についての方針を説明する予定だ。ただ、資金の確保など乗り越える壁は高い。馬原監督は「あまり関与していないので分からないです」と話した上で「NPBを知っているので、莫大(ばくだい)な資金も必要でしょうし、めちゃくちゃ大変だとは思います」と語った。

 ◇馬原 孝浩(まはら・たかひろ)1981年(昭56)12月8日生まれ、熊本県出身の41歳。九州共立大から03年のドラフト自由獲得枠でダイエー(現ソフトバンク)に入団。13年1月に寺原のFA移籍に伴う人的補償でオリックスに移籍。15年限りで現役引退。プロ通算385試合に登板し、23勝31敗、182セーブ、47ホールド、防御率2.83。07年に最多セーブのタイトルを獲得。右投げ右打ち。

 ▽火の国サラマンダーズ プロ野球独立リーグの「九州アジアリーグ」に所属する熊本県のプロ野球チーム。20年に設立され、社会人野球の熊本ゴールデンラークスを母体としている。チーム名には「火の精霊」であるサラマンダーのように「苦難に負けず信念を貫く強さを持ったチームになってほしい」という思いが込められている。21、22年とリーグ優勝。22年は独立リーグで日本一に輝いた。

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