西武育成出身3年目・長谷川 21歳“前祝い”9回2死に起死回生の同点弾がプロ1号

[ 2023年5月17日 05:20 ]

パ・リーグ   西武4-2日本ハム ( 2023年5月16日    エスコンF )

<日・西>プロ初本塁打を放ち1号ポーズを決める長谷川(撮影・高橋 茂夫)
Photo By スポニチ

 20歳最後の日の大仕事だった。右拳を三塁側ベンチに向けた西武・長谷川は、感慨深げにダイヤモンドを一周。1点を追う9回、プロ初本塁打となる同点ソロ。延長戦勝利を引き寄せた起死回生の一発に「同点でベンチも盛り上がって“やってやったぞ”という気持ちでした」と声を弾ませた。

 1―2の9回2死。日本ハムの守護神・田中正の152キロ直球を左中間席へ叩き込んだ。プロ出場43試合、94打席目の待望の一発。17日は21歳の誕生日。「いい前夜になった。気持ちで打ちました。価値のあるホームランで良かった」と前祝いに笑顔だった。

 敦賀気比(福井)から20年育成ドラフト2位で入団。内外野をこなし、50メートル走5秒8の俊足で走攻守そろった万能野手の誕生は高2春だった。当時は投手だったが投げては打たれ、球速も上がらない日々。周囲のレベルも高く「正直、野球をやめたかった」と野球人生初の挫折を経験した。だが「打者・長谷川」の素質を見抜いたのが同校の東哲平監督。野手転向後の2年秋から主軸となり「自分の可能性を見つけてくれた」と感謝する。母は京都で「舞妓(まいこ)さん」として人々の時間に花を添えてきた。幼い頃から礼儀作法に厳しく「人を大切にすることで困った時に助けてもらえる」とスタッフ、報道陣へのあいさつも欠かさない。記念のボールは「両親に渡します」と照れた。

 秋山翔吾(現広島)以来、チームの長年の課題である1番に座る3年目は「打つことに期待してもらっている。チームに流れを持ってこられるように」と語り、勢いよく帰りのバスに乗り込んだ。(福井 亮太)

 ◇長谷川 信哉(はせがわ・しんや)2002年(平14)5月17日生まれ、京都府出身の21歳。4歳から野球を始め、中学時代は京都嵐山ボーイズに所属。敦賀気比(福井)では2年春に投手から野手に転向し、同年夏に甲子園出場。高校通算14本塁打。20年育成ドラフト2位で西武入団。昨年7月2日に支配下選手となり、同9日の楽天戦でプロ初安打&決勝打。将来の夢は「トリプルスリー」。1メートル83、85キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年5月17日のニュース