朗希へ「自分のために投げて」 小3時入団「高田野球スポーツ少年団」当時の監督がエール

[ 2023年3月12日 05:25 ]

WBC1次ラウンドB組   日本10ー2チェコ ( 2023年3月11日    東京D )

<日本・チェコ>大勢のカメラマンからフラッシュを浴びる佐々木朗(撮影・尾崎 有希)
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 【YELL FROM 恩師】日の丸を背負った佐々木朗の姿に、地元も熱狂した。出身地の岩手県陸前高田市内と高校時代を過ごした大船渡市内の2カ所では、パブリックビューイング(PV)が開かれた。陸前高田市職員で佐々木朗の後援会の事務局長も務める村上知幸さん(52)も教え子の雄姿を見つめた。

 右腕が高田小3年時に入団した「高田野球スポーツ少年団」で当時の監督を務めていた。プロ4年目での侍ジャパン入りに「160キロを超える直球を持っていたので、“いつかは入るのかな”と期待していたが、もっと先だと思っていた。びっくりだけど、うれしいですね」と声を弾ませる。

 寄せ書きがびっしりと書かれた5枚の応援旗。後援会が事前に同市内のショッピングモールに置き、市民からメッセージを募ったものだ。その応援旗が掲げられたPV会場で、村上さんも固唾(かたず)をのんで投球を見守った。

 東日本大震災発生から12年となる3月11日の登板。佐々木朗も父や祖父母を津波で失った。村上さんも次男を亡くした。被災した誰もがやり切れない思いを抱えながら、一歩ずつ前に進んできた。「あの時に、ああいう経験をしたもの同士。地元の人たちは応援しないわけがない。それぞれの立場で12年、頑張ってきて今がある」と言う。

 地元だけでなく、日本中の期待を一身に背負う。とはいえ、まだ21歳の若者。村上さんは「父ちゃんとかおじいちゃん、おばあちゃんも見ていると思うし、顔を思い浮かべながら投げるんだと思う。でも、自分のために投げてくれればいい」と気遣った。

 佐々木朗に最後に会ったのは、昨年1月の成人式。右腕は昨年11月にもテレビ番組の取材のために陸前高田市に帰省したが、タイミングが合わずに対面できず。「自分の事情で会うことができなかったので残念だった」と振り返った。

 もちろん世界一奪還も期待するが「大谷選手、ダルビッシュ選手にも話を聞いていると思うので、それを自分のものにして一段階、二段階も飛躍してほしい。体を大事にしてほしいですよね」と語る。一番の願いは、大舞台を経験した先にある、教え子の成長だ。(田中 健人)

 ◇村上 知幸(むらかみ・ともゆき)1970年(昭45)4月16日生まれ、岩手県出身の52歳。高田(岩手)では88年夏の甲子園に外野手として出場した。現在は陸前高田市役所に勤務し、観光交流課に所属。

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