伊東勤氏 侍4番に戻った村上が心配…大谷を意識するあまり本来の打撃に程遠い

[ 2023年3月10日 05:05 ]

WBC1次ラウンドB組   日本8-1中国 ( 2023年3月9日    東京D )

<日本・中国>8回、三振に倒れ、悔しげな表情の村上(撮影・光山 貴大)
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 【伊東勤 視点】侍ジャパンは中国相手に中盤まであと一本が出ずに苦戦。私がコーチをした2009年のWBCを思い出した。あのときも初戦は中国戦。3回に村田修一(横浜)の2ランなどでリードしたものの、なかなか追加点が奪えず終わってみればわずか5安打で4得点。先発ダルビッシュから6投手の零封リレーで勝てたが冷や汗が出た。最終的に点差は開いたが、この日の試合も競った展開。大谷の一撃と好投で終盤まで持ちこたえたもののWBC本番の怖さを改めて痛感した。

 打線は苦しんだが、上位打線の形はできている。1番のヌートバーは球を捉えるのはうまいし、選球眼もいい。足も使える。慣れない東京ドームで守備が心配だったが、美技も出た。出塁率が高い近藤につないで大谷が決める。この3人までは固定していいだろう。

 心配なのが4番に戻った村上だ。自分の前に存在感が大きい大谷がいる。それを意識するあまり、自分の打撃ができていない。中国の投手は130キロ台の直球に、緩すぎるチェンジアップ…。このレベルの投手とは通常対戦しないのでアジャストするのに苦労したとはいえ、本来の打撃には程遠い。6回の打席では申告敬遠されたが、これから先、大谷のマークがきつくなり、歩かされて村上が勝負されるケースが増えてくる。そうならないためにも、村上には早く一本が欲しい。決勝までの戦いを考えれば栗山監督は「4番・村上」を貫きたいはず。若き3冠王の奮起に期待したい。(スポニチ本紙評論家)

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2023年3月10日のニュース