楽天・今江2軍打撃コーチ 第1回WBCで経験した“地獄”「本当に日本帰れるのかなあ」

[ 2023年1月27日 16:00 ]

楽天・今江2軍打撃コーチ
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 楽天の今江敏晃2軍打撃コーチ(39)が26日深夜放送のテレビ東京「サンドナイツがプロ野球選手だけの居酒屋はじめました」(木曜深夜1・00)に出演。日本代表の一員として出場した2006年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で経験した「地獄」から「天国」への道のりを振り返った。

 王ジャパンの一員として、世界の頂点に挑む大会に参加したが、当初は「岩村さん(ヤクルト)がレギュラーでバリバリおられたので、僕は本当に観光くらいの感覚」だったという。「絶対的なスタメンがおられて、何かあったら宮本さん(ヤクルト)とか行くだろうなと。新井さん(広島)もおられて、ベンチもそうそうたるメンバー」。しかし米国・アナハイムで行われた第2ラウンド韓国戦。岩村の故障によって突然“想定外”の出番が巡ってきた。

 三塁で途中出場すると、試合は両軍スコアレスのまま、息詰まる投手戦に。0-0の8回が大きな分岐点となった。1死一塁、韓国1番・李炳圭(イ・ビョンギュ)が放った打球は中堅前へ。一塁走者は一気に三塁へ向かい、中堅手・金城(横浜)は三塁へストライク送球を投じた。「タイミングは余裕でアウトだったんで僕、ベースの前で待っていたんですよ。その上にヘッドスライディングしてきて(グラブが)負けてしまって…」。相手の気迫に負ける形でグラブをはじかれ落球。ピンチを広げると「藤川球児さんがセンター前にタイムリー打たれて、逆転負けして、(マウンドに)旗立てられて…」。悔やむに悔やみきれないミスだった。

 お笑いコンビ「ナイツ」の塙宣之から「日本中が今江…って」と話を向けられると「下手したらチームメートも思っていたと思うくらい、あんまり言葉をかけてもらえなかったです」と言う。「青木さんと川崎さんがその夜にごはん誘ってくれて、それでちょっと救われた部分があったんですけど…」としたが、中心選手のイチローにも「近寄れなかった」くらいの気持ちの落ち込みで「本当に日本帰れるのかなあって雰囲気だった」と地獄に突き落とされた。

 しかし運命は好転する。失点率の差で第2ラウンドを突破すると、準決勝で韓国、決勝でキューバを破り、世界一に。今江も決勝で適時打を放つなど、ミスを取り返す活躍で勝利に貢献した。「本当にちょっと…。日本、普通に帰れると思いましたね。たまたまタイムリー決勝で打たせてもらえましたし」。当時は生きた心地がしなかったが、今ではいい教訓となって生きている。大事なのは準備とミスを取り返す気持ち。だからこそ「今は、逆に話していこうという気持ちでいるんですけど」と穏やかな笑顔で話した。

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