広島・新井監督 指揮官でも熱き護摩行!400度超の炎の前で「広島優勝、心願成就」感謝の絶叫

[ 2023年1月20日 05:00 ]

必死の形相で燃え盛る火柱を見つめながら経を唱える新井監督(撮影・奥調)
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 広島の新井貴浩監督(45)が19日、和歌山県高野町の高野山・清浄心院で恒例の護摩行に挑んだ。2004年12月に始めて以来、節目の20年目。監督就任後初めて挑む今回は「広島優勝、心願成就」と絶叫するシーンもあった。池口恵観大僧正(86)からは「優猛精進(ゆうみょうしょうじん)」の言葉を授けられ、V奪回へ「カープのために選手のために、心と体をフル回転させたい」と決意を新たにした。

 約40センチの至近距離で3メートルを超える火柱と正対し、全身全霊を込めて90分間、不動真言を唱えた。燃え上がる炎は摂氏400度超。顔を真っ赤にしながらも、新井監督の表情はどこかすがすがしかった。

 「毎回苦しいけど、やり終えると気持ちはグッと引き締まる。これは20年前と一緒。精神的には間違いなくタフになったと思う」

 鹿児島・最福寺で2004年12月に初体験して以来、19回目の恒例行事。選手としての飛躍を、レギュラー奪取を願って始めた苦行ながら、18年に現役引退した以降も「一人の人間として続けないといけない。一年でも空けるとダメになりそうで」と継続する。

 監督就任後初めて挑む今回は、サプライズもあった。行に参加する僧侶や信者が新井監督と一緒になって「広島優勝、心願成就」と絶叫。「何も聞かされていなかった。気遣ってもらった。ありがたい」と感謝した。魂の願掛け。現役時代とは思いが変わった。

 「選手全員が元気でケガなくグラウンドを暴れ回ってほしい。そういう思いで願った」

 池口恵観大僧正がくべた護摩木は、例年よりも500枚多い2000枚。優勝を祈念するからで「苦難が伴っても頑張って乗り越えて」との思いを込めて「優猛精進」の言葉を授け、「監督自身が良いオーラを出せば選手は付いてくる。優勝できる」と期待する。

 4年連続Bクラスから逆襲に転じ、頂点を目指す就任1年目。新井監督は長いシーズンの浮き沈みを思い、苦しい時にこそ護摩行が生きると強調する。

 「この苦しい行を継続してやることによって耐え忍ぶ、少々のことではへこたれないので。シーズン中はうまくいかないことの方が多い。そういう時にも“もうダメだ”じゃなく前向きになれる」

 2月1日のキャンプインまで10日あまり。「ここで一気に気持ちを引き締め、キャンプに向けてスイッチを入れる。そういう節目になる」。率先垂範でナインを引っ張った現役時代。立場を指揮官に変えても己を磨き続け、チームをリーグ制覇と日本一へ導くために全身全霊を注ぐ。 

 《高野山別格本山》清浄心院(しょうじょうしんいん)真言宗の開祖である空海(弘法大師)が天長年間(824~834)に草創。初めは喜多坊と称したが、勅命で現在の院号に改めたと伝えられる。本尊は空海が彫刻した廿日大師像。池口恵観法主は2014年6月から住職を務める。

 《新井監督と護摩行》広島で現役の04年オフ。兄貴分の金本が鹿児島・最福寺で行っていた恒例行事にならい、地元広島のテレビ局の正月企画で挑戦したのがきっかけ。翌05年オフからは寺に泊まり込み、修行を本格化。08年の阪神移籍、15年の広島復帰を経て、現役最終年の18年まで14年連続で敢行した。18年からは修行場所を和歌山・高野山の清浄心院に移し、引退後の評論家時代も継続していた。護摩行後に池口恵観法主から授かった金言・格言は常在戦場(08年)、背暗向明(09年)、小欲を大欲で制す(11年)、一打成仏(17年)など、シーズンを戦う指針となった。

 《護摩行》インド伝来、密教最高の修行法。燃え上がる炎の前で全身全霊を込めて不動真言を唱えることにより、すべての煩悩を焼却するとともに息災を祈願する。通常2時間、長いものでは8時間に及ぶものもある。

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2023年1月20日のニュース