千賀も注目したソフトB・中村亮 支配下再奪取へ決意の出発「成長した姿を見せて恩返ししたい」

[ 2022年12月6日 08:00 ]

<ソフトバンク>投球練習を行う中村亮太(撮影・中村 達也)
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 毎週火曜日にたっぷりとソフトバンクのファーム情報をお届けする「筑後鷹」。第6回は、中村亮太投手(24)を直撃した。今季シーズン中に、育成契約から支配下登録を勝ち取るも1軍で結果を残せず、来季は育成で再契約となった右腕。激動の一年を支えたのはメジャー移籍が決定的な千賀滉大投手(29)との自主トレ経験だった。

 再び3桁の背番号から出発する中村亮には感謝を伝えたい師匠がいる。今オフ、海外フリーエージェント(FA)権を行使してメジャー移籍を目指す千賀だ。今年1月、宮古島で行われた自主トレでともに汗を流した間柄だが、一体なぜ、2年目の育成右腕がエースの自主トレに呼ばれたのか。その真相を明かした。

 昨年の宮崎秋季キャンプだった。中村亮は千賀に呼ばれ、「中村君、面白いから自主トレに来てくれない」と、思ってもいないお誘いがきた。当時はまだ1年目。1軍選手とは、あいさつ程度の言葉しか交わしていない状況だ。ましてや“あの千賀さん”からのアプローチに「テレビの向こう側の人だったのでびっくりしました」と心を躍らせて参加を決めた。

 「1年目の自分を陰ながら見ていてくださった。練習の姿勢、2軍での投球を見て、声を掛けてくれたと思う」

 今や日本球界を代表する右腕も、かつては同じ育成選手。同じ境遇から羽ばたく後輩を探していた。宮古島では「“ゆっくりしている暇はないよ”と言われた」と目の色を変え、臨んだ今夏の7月2日、ついに支配下登録を勝ち取った。しかし、厳しい現実を突きつけられる。

 7月7日の楽天戦でプロ初登板も1回3失点とホロ苦デビュー。1軍では2試合に登板し計2回2/3を10失点で防御率33・75と洗礼を浴びせられた。「2軍で空振りのボールは1軍ではファウル。単打の打球は長打になる。初めて投げる球種は空振りを取れていたけど、1軍は振ってくれない。全てにおいて1ランク違う」と壁の高さを痛感。そして、今オフに来季構想外を宣告され、育成再契約を結んだ。

 それでも、千賀からは「アメリカにいたとしてもサポートできることがあれば相談してくれ、いつでも話を聞くから」と連絡があったという。折れかけた心が救われた瞬間だった。「凄く安心するし、心強かった。1軍ではまだ戦力とみなされていない。成長した姿を見せて恩返ししたい」と中村亮。大先輩の期待は裏切れない。感謝を胸にもう一度、はい上がってみせる。 (福井 亮太)

【中村亮に聞く】
 ――1軍の舞台で学んだことは?
 「中継ぎの平均球速が全然違って、自分は2軍だと速い方だけど1軍だと遅い。ホークスは常時150キロ出る投手陣がほとんどなので、もっと強い球を投げていかないと勝てない」

 ――今の課題は?
 「まずは1年間投げ抜く体力をつけること。今年のオープン戦は平均で150キロ出ていたけど、夏場にがくっと落ちた。もっとプロの体づくりをしていかないといけない」

 ――トレーニングに対する意識の変化は?
 「他の育成選手と練習してきた中で、1軍を経験した。1軍はもっとピリピリしているし、やっぱり自分も含め練習の雰囲気が少し緩いと感じるようになった。練習の意識も変わってきたし、今でも通用しないのに楽をしていてはダメ。意識の変化が1軍を経験できた強みです」

 ◇中村 亮太(なかむら・りょうた)1998年(平10)5月18日生まれ、千葉県出身の24歳。千葉経大付では甲子園出場なし。東農大北海道オホーツクを経て、2020年に育成ドラフト8位でソフトバンク入団。今年7月に支配下登録され背番号は137から60へ。育成再契約で背番号も137に戻った。1メートル82、76キロ。右投げ右打ち。

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