広島OB黒田氏 “盟友”新井監督から「しつこいくらい」の要請 アドバイザーとして若手育成に意気込み

[ 2022年12月2日 05:00 ]

球団アドバイザーとしての契約を結び、取材に応じる黒田博樹氏(撮影・河合 洋介)
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 広島OBの黒田博樹氏(47)が1日、広島市南区の球団事務所で球団アドバイザーとして単年契約を結んだ。主に2、3軍に所属する若手投手への指導が中心になるとみられる。大野練習場での直接指導などが実現する見込みで、日米通算203勝を誇るレジェンド右腕が育成段階の若ゴイの成長をサポートする。

 レジェンドが若手と接し、寄り添い、支える体制が出来上がる。黒田氏が前例の少ない球団アドバイザーとして契約締結。「自分の経験してきたことが、少しでも若手投手のプラスになればいい」と2軍投手を直接指導するプランを明かした。

 「全くどういう方向性になるか分からない。自分でも戸惑っている」と言及したように、指導日など仕事内容の詳細は未定。新井監督が来春のキャンプ訪問を期待していたことについては「コミュニケーションミス」と首を横に振って笑わせた。ただし球団からは自身の都合に合わせ、自由に指導してほしいと伝えられている。その中で決断している一つが若手のサポートだ。

 「僕のイメージは、若手の(指導の)方が強い。僕自身、入団から4、5年は結果が出ず、たくさん苦しい思いをした。いま苦しんでいる子、なかなか結果に結びつかない投手の力に少しでもなりたい気持ちはあります」

 輝かしい実績を誇る同氏が経験してきたのは、成功体験だけではない。初めて2桁勝利を挙げたのはプロ5年目の01年。剛球を生かし切れずに苦しんだ若手時代の経験も後輩に伝えていくつもりだ。

 来年から若手選手寮に隣接する大野練習場で直接指導したり、米国に滞在の場合は投手コーチと連絡を取り合って手助けするプランもある。ドラフト1位の高校生・斉藤(苫小牧中央)や来季高卒3年目を迎える小林ら有望な若手投手は数多くいる。その中で「自分のできる範囲とペースで、自分なりに距離感を保ってサポートしたい」と同氏らしく、現場の首脳陣に配慮することも何度も強調した。

 アドバイザー就任は、盟友の新井監督から「しつこいくらい」の電話要請を受けて実現した。来季は1軍首脳陣から相談を受けることも考えられる。「監督だけでなく、一緒にプレーしたコーチもいる。アドバイスを求められたときに、しっかりと応えられる準備だけはしておきたい」。レジェンドが「新井カープ」という家族の一員に陰ながら加わる。(河合 洋介)

 ◇黒田 博樹(くろだ・ひろき)1975年(昭50)2月10日生まれ、大阪市出身の47歳。上宮から専大を経て96年ドラフト2位(逆指名)で広島入り。05年に最多勝に輝き、ベストナインとゴールデングラブ賞。06年に最優秀防御率。07年オフにFA権を行使してドジャースに移籍。ヤンキースを経て15年に広島で日本球界に復帰し、16年限りで引退。日米通算203勝で、背番号15は広島の永久欠番。04年アテネ五輪日本代表。右投げ右打ち。

 ≪松田元オーナーも直接指導を心待ち≫
 黒田氏からあいさつを受けた松田元オーナーは、「(黒田氏の活動を)拘束するようなものではないので、自由にアドバイスしてほしい」と直接指導を心待ちにした。手薄な若手投手の育成は喫緊の課題で「精神的な話などいろいろなものの考え方ができる。若い子は積極的に聞きに行ってほしい」と期待を寄せた。鈴木清明球団本部長は「あれだけの経験があるけど伝えるときはシンプル。若い人にとってもいいと思う」と思い描いた。

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