超異例!キャンプ中に理学療法士国家試験受験へ 京大医学部・水口「プロに行きたい」ソフトB育成入団決断

[ 2022年11月12日 05:00 ]

王会長、藤本監督からのサインボールに笑顔の水口創太
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 ソフトバンクから育成ドラフト7位で指名された京大・水口創太投手(23)が11日、京都市の同校で指名あいさつを受けた後、支度金300万円、年俸400万円で仮契約を結んだ。ドラフト直前には支配下以外の指名に難色を示していたが「プロに行かせていただきたい」ときっぱり。NPB史上初の医学部出身選手が誕生し、来年2月19日の理学療法士国家試験受験も球団から容認された。

 正式な指名あいさつを受けた水口は、迷いなく入団を断言した。福山龍太郎アマスカウトチーフ、稲嶺誉スカウトの訪問で、冒頭から前のめりな気持ちを包み隠さず、力強くプロへの抱負を語った。

 「早く戦力になれるように頑張りたい。育成なので、まずは支配下になれるように。チームを代表するような選手になりたいと思います」

 ドラフト指名で独占交渉権を得てからこの日の正式な指名あいさつまでに、担当の稲嶺スカウトが京大へ足しげく訪問。施設や育成プログラムについて細かく説明し、心を解きほぐした。身長1メートル94から投げ下ろす最速152キロの直球は迫力十分。“京大生”というフィルターを抜きに、野球選手としての素質を高く評価され、ホークスの魅力も知った剛腕も「球団の育成方針、自分がどういうふうに成長できるかを説明していただき、イメージできた。最終的には自分で決めました」と決意を固めた。

 医学部人間健康科学科で理学療法を学ぶ。今春リーグ戦でも実習のため欠場することがあった。野球にも、勉強にも手を抜かず取り組んできた証しでもあり、球団は春季キャンプ中に予定されている来年2月19日の第58回理学療法士国家試験の受験を容認。入寮後から試験終了までしばらくは野球と勉強という前代未聞の“二刀流”となるが、3年で体重5キロ増、最速154キロの計画を提示した福山チーフは「筑後スタートにして学生の本分は尊重してあげたい。出遅れはありますが、大外からまくっていけるように」と“末脚”に期待した。

 来月1日に提出が迫った投球障害に関する卒業論文を完成させるべく、1日5時間の勉強と4時間の練習を両立している右腕なら、異例の船出も問題ない。「球の角度が一番の持ち味。そこをさらに磨いていきたい。やるしかないと思っているので、とにかく頑張りたいと思います」。変わり種の“二刀流”のパイオニアとして、一歩を踏み出す。(北野 将市)

 ◇水口 創太(みなくち・そうた)1999年(平11)8月9日生まれ、滋賀県大津市出身の23歳。晴嵐小2年から晴嵐スポーツ少年団で野球を始め、北大路中では軟式野球部に所属。膳所では1年秋からベンチ入りし、2年秋からエース。1年浪人後、京大では医学部人間健康科学科に在籍し3年春からリーグ戦出場。1メートル94、102キロ。右投げ右打ち。

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2022年11月12日のニュース