【阪神・矢野監督 退任会見(1)】「今は気持ち的にはスッキリ」「全員で良いチームはつくれた」

[ 2022年10月15日 17:03 ]

会見で笑顔の矢野監督(撮影・大森 寛明)
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 阪神の矢野燿大監督(53)が15日、大阪市福島区の阪神電鉄本社で退任会見を開いた。就任4年間は3位、2位、2位、3位と全てAクラス入りを果たしながらも、悲願の優勝には届かず。「夢と理想を語りながらやる野球というのは貫けた、やり切ったという思いは持っています」と言いながらも、「やっぱり勝つということが一番大事な部分。リーグ優勝、日本一ができてない、そういうところでは(ファンを)喜ばすことができなかった部分もあった」と悔しさもにじませた。

 現役時代と合わせて20年間在籍した阪神へは「僕の人生を変えていただいたのも、本当にもう阪神タイガースですし、まさか監督をやらせてもらえるとは思っても見なかった」と感謝の言葉を口に。自身の今後を聞かれ、「僕の夢はまだまだ続くんで。子供たちを笑顔にしていくのも僕の大きな夢ですし…」と口にしたところで、こみ上げてくるものをこらえ切れず、涙する場面もあった。

 【矢野監督と一問一答(1)】

 ―お疲れ様でした
 「ありがとうございます」

 ―昨夜は眠れたか
 「シーズン終わってから少し寝られる時もあったんですけど、昨日はさすがにあまり寝られず。でも今は気持ち的にはスッキリしています」

 ―昨夜の試合をもってユニホームを脱ぐ。率直な気持ち
 「そうですね。僕が目指している野球というのは、選手にはよくて、ファンの人にもよくて、ずっと言ってきましたけど、夢と理想を語りながらやってくる野球というのは貫けた、やり切ったという思いは持っています。でも、勝てなかった、リーグ優勝も日本一もできなかったという悔しさも同時には持ち合わせていますが、本当にチーム全体でコーチ、スタッフ、裏方、みんなが一丸となって強いチームはつくれませんでしたけど、全員で良いチーム、いいチームはつくれたかなとは思っています」

 ―昨日の神宮球場の試合終了の瞬間というのは、監督の中にはどういう思いが巡っていたのでしょうか?
 「もちろんね、勝てるチャンスが十分にあった試合ですので、悔しかったし、この選手たちとまだ野球をやりたいなというのが正直な気持ちだったので、終わってしまったときは、残念というか、あっけないというか、何かそんな気持ちはありました」

 ―涙を流す選手もいました。選手たち、スタッフには監督の方からはどういう言葉を試合後に掛けたのでしょうか?
 「いっぱいしゃべったんで、自分でもどんなことをしゃべったのかなというのは、思い出せないところもありますけど、僕は今の現役生活も少しでも良くなるように、選手たちに伝えてきましたし、僕たちプロ野球選手は40歳までできればすごいことだと思うので、その先の人生にも何か一緒にやった時間が、あんなことがあって今も頑張れているなとか、ああいうことがつながっているなというような思いを続けていってほしいなという思いもあったので、そういうことも含めて、それが俺たちの野球というところでもずっと言ってきたんですけど、そういうことを大事にしてくれたらうれしいし、この一緒にやった時間がそういうような気付く時間になってくれたらそんなうれしいことはないというようなことは伝えた記憶があります」

 ―神宮では矢野監督への惜別のエールも
 「はいもう、ほんとに感謝しかないですね。あのような形で送り出してもらえて、タイガースファンのみなさんも悔しい思いをしている中でね、やっていただけたことなので。ほんとに感謝しかなかったですし、応援団の方ですかね、『俺たちの野球を貫いた』っていう横断幕を出してもらえたのも、はっきり見えましたし。この4年間やってきたものが、選手たちにはもちろん、タイガースファンのみなさんにも届けられたものがあるのかなっていうのが実感させてもらえたメッセージだったんで、ほんとに感激、感謝しかなかったですね」

 ―先ほどの話と重複するかもしれないが、4年前の就任会見では「超積極的」「諦めない」「ファンを喜ばせる」そういったスローガンがあった。4年間を振り返って
 「う~ん、まあね、ファンの人を喜ばせるっていうところでは、やっぱり勝つっていうことがね、一番大事な部分でもありますし。リーグ優勝、日本一っていうのができてない、そういうところでは喜ばすっていうことができなかった部分もあったのかなと思いますけど。僕は監督就任させてもらう時に、今のプロ野球の魅力っていうのは、勝つことが一番喜んでもらえることだっていうのが、もちろん僕も理解している上で、そこにプラスアルファの何かが必要なんじゃないかなって思ってました。それは、例えば凡打でも全力疾走で走ろうぜっていう俺たちの野球の1つですけど、それを貫いた先に、子どもたちが全員ホームラン打てるわけでもないんで、でも凡打でも一塁までタイガースの選手みたいに走ろうぜって世界観が生まれれば、勝つことプラスアルファの感動であったり気持ちの共有であったり、魅力であったりっていうのが伝えられると思ってましたし。え~、勝つことにももちろんこだわるけど、そこのプラスアルファっていうのはずっと思い描いてやってきましたので、そうですね、そういうところを一緒にやれたっていうのは僕だけじゃなくてコーチ陣、スタッフ、裏方さん、みんな力合わせてやってこれたと思うので、その部分は全員で作り上げてこれたかなと思います」

 ―その中で4年目のシーズンはあえて退路を断って。この1年はどのような思い出
 「辞めるっていう、退任を発表するという決断をすることを自分の中ですごく悩んで。でも選手たちには嘘をつきたくない、正直でありたい、そういう思いもあって。これは僕にとっても挑戦だったので、その時はチームにとっても僕にとってもいいという選択の中で退任を発表した訳ですけど、結果的にそれが開幕のスタートのつまずく原因になった可能性も、もちろんあるので。それは迷惑をかけてしまったというのは素直な部分ではあります。ただ、挑戦にはうまくいかないことがいっぱいあるので、今回の退任の発表をしてのシーズンを迎えるということは失敗だったのかもしれないですけど、それを選手たちが変えてくれたところがあったので。本当に最後、3位になってくれたというところで本当に選手たちに助けてもらいましたし、4年間伝えてきたことが、粘り、みんなで作ってきたチームが何かこういうということにつながっていたと思うので、自分としては今日は帰ってこないと思いながら1日1日を過ごしてきた今年だったので。まあ、そうですね、反省というかいろんな思いがありました」(続く)

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2022年10月15日のニュース