ヤクルト・村上やられた~竜20歳・高橋宏斗と「令和の名勝負」51号の因縁完敗3タコ

[ 2022年9月23日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト0―3中日 ( 2022年9月22日    神宮 )

<ヤ・中>4回、見逃し三振に倒れる村上(撮影・久冨木 修)       
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 日本選手最多の56号を狙ったヤクルト・村上宗隆内野手(22)に真っ向勝負を挑んだ男がいる。中日・高橋宏斗投手(20)だ。3度の対戦で最速157キロを記録するなど無安打に抑え、2奪三振。7回1安打無失点で6勝目も挙げた。リーグ連覇を目指すヤクルトの優勝マジックは「4」のままとなったが、プロ野球界の未来を担う2人の若武者が、順位争いを忘れてしまうほどの熱い戦いでファンを魅了した。

 マウンドの高橋宏の眼光が鋭くなる。打席の村上もにらみ返す。この試合2度目の対戦となった4回。18・44メートルで意地とプライドがぶつかった。高橋宏が投じたのは外角低めに制球された157キロの直球。自己最速にあと1キロに迫る剛速球に村上のバットは動かない。見逃し三振。神宮がどよめきに包まれた。

 村上の日本選手最多となる56号を期待し、2万9082人が詰めかけた敵地。高橋宏が“主役は俺だ”とばかりに真っ向勝負を挑んだ。2回の最初の対戦も152キロの高め直球で空振り三振。最後の対戦の7回も外角直球で左飛に抑えた。「長打のある球場なので高さだけは間違えないように投げた」と言う右腕は7回、97球を投げ許した安打は投手の山下の二塁内野安打のみ。三塁すら踏ませず今季同戦は4戦全勝となる6勝目を手にした。

 高橋宏が胸に刻む言葉がある。「やられたらやり返せ」。就任1年目の立浪監督が開幕前日にナインに語った言葉だ。村上には今季2本塁打を浴びており同カードの今季最終戦はリベンジの舞台でもあった。4月20日はカットボールで、9月4日は高めのスプリットで51号を被弾。その翌日に「次はもっといい対策を練られれば自分もあれ以上のパフォーマンスが必ずできる」と雪辱を期していた。「相当、怖かった。でも、やるしかなかった」と自らを奮い立たせ、全3打席で直球勝負。「今日はしっかりできたかなと思う」と誇らしげに胸を張った。

 記録更新への力みや優勝争いの重圧で9回も二ゴロに倒れ、これで55号を放ってから6試合ノーアーチとなった村上も来季以降の高橋宏との対戦では黙ってはいない。優勝マジックを4から減らすことができず、最短Vが24日となったヤクルト・高津監督もここ6戦は19打数2安打で打率・105の村上について「4番ですから堂々とグラウンドに立ってフルスイングしてくれたら、それでいい」と信頼を口にする。

 高卒2年目で8月に20歳になったばかりだが、その成長曲線を考えればノーヒッターに一番近い投手と言える高橋宏と、22歳にして球界を代表する強打者へと成長した村上。同じセ・リーグで、来季以降も対戦を繰り返す。9・22。令和の新たな名勝負が誕生した。

 ≪6戦連続ノーアーチ≫村上(ヤ)は9月13日に55号本塁打をマークして以降6試合連続で本塁打なしとなった。村上が6試合以上連続で本塁打を打てなかったのは開幕から1号(6試合)、3号から4号(10試合)、29号から30号(8試合)、39号から40号(6試合)に次いで今季5度目。このままのペースでいくと今季の本塁打は最終58本となるがどうなるか。

 ≪「村上専用カメラ」BSフジが設置≫BSフジが急きょ決定した、神宮でのヤクルト主催試合の生中継がスタート。この日を含めた7試合中6試合で実施されるもので、左翼席後方に「村上専用カメラ」も設置された。ベンチや打席での表情を含め一挙手一投足が伝えられたが、歴史的瞬間は次戦以降に持ち越された。

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