「若手を出してあげてください」阪神・糸井の人間性は、引き際までにじみ出ていた

[ 2022年9月22日 07:00 ]

セ・リーグ   阪神4―10広島 ( 2022年9月21日    甲子園 )

20年1月、沖縄自主トレで糸井(右)とともにランニングする長谷川記者
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 【記者フリートーク】糸井の大きな手から優しさが伝わってきた。13日の引退会見前だった。会場の入り口で偶然にも対面。「今までありがとう」。初めて握手を求められ、初めて感謝を伝えられた。その時ばかりは思わず涙がこぼれ落ちそうになった。

 突然の出来事と予想外の言動に驚きつつ、改めて気遣いと優しい人柄を感じた瞬間だった。19年の春季キャンプでは練習取材の最中に、いきなり肩を抱きかかえられて、強引にグラウンドに連れて行かさそうになったり、20年の沖縄自主トレでは外野を一緒に走ったこともあった。普段の取材では多くは語らないが、“2人の時間”では超人の本当の姿を感じることができた。

 「体重は減らした方がいいぞ。膝に負担がくるからな」と体重130キロだった私の体を心配をしてくれたり、時には「本当に阪神担当って大変だよな」と記者の仕事にも理解を示してくれた。

 実はチームメートにも気を使っていた。実は2軍生活が続いていたシーズン後半、平田2軍監督に伝えていたことがあった。「若手を出してあげてください」。本来なら出場してアピールしたかったはずだ。しかし若手に出場機会を譲った。すでに心の中では引退を決断していたのかもしれない。引き際も、糸井の人間性がにじみ出ていた。(阪神担当・長谷川 凡記)

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2022年9月22日のニュース