大村巌氏 阪神・糸井はまるで“子犬のよう”褒めるとなんでも即習得 指導法を変えてくれて感謝している

[ 2022年9月22日 07:15 ]

セ・リーグ   阪神4―10広島 ( 2022年9月21日    甲子園 )

日本ハム時代、コーチとして糸井を指導した大村氏(左、右は梨田昌孝監督)
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 糸井が入団3年目を迎えた06年の4月だった。投手から外野手に本格転向。当時、2軍打撃コーチだった私が指導役を任された。

 「1カ月後には試合に出られるようにしてほしい」

 日本ハム・高田繁GM(当時)からの“業務指令”だった。「時間がない」。糸井と同様に私も焦っていた。「ダメ。ここがダメだ。できていないぞ!」。指導中は時折、感情的となり、ネガティブな表現や発言を繰り返してしまっていた。

 そんなある日、ついに糸井の我慢も限界に達した。「ずっとダメと言われていたら、本当にダメになってしまいそうです」。この“怒りの一言”で指導方法の見直しが必要と気づかされた。参考になるものを探すため書店に立ち寄ると、ペットコーナーで「子犬の飼い方」という一冊の本を見つけた。犬は褒めてあげるとそれが習慣となり、その後は褒めてほしいから、いいことをすると書かれていた。失礼ながら…。翌日から実践すると、意外にもうまくはまったから驚いた。

 とにかく糸井はのみ込みが早かった。他の選手が1カ月ぐらいかけて習得することを、1分ぐらいでやってのけてしまうこともあった。例えば、低めに落ちる球に対して、膝を曲げて打つ練習では少し見本を見せただけであっという間に習得。弱点を指摘するよりも、能力を引き出すために、とにかく褒めることを心掛けた。

 彼のおかげで私の指導法や考え方は大きく変わった。本当に感謝している。この年齢までよく頑張ったと思う。(DeNA2軍打撃コーチ)

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2022年9月22日のニュース