阪神・糸井、熟考の末に引退決断 誰からも愛された「超人」花道は日本一で

[ 2022年9月13日 05:00 ]

引退を決断した阪神・糸井

 阪神・糸井嘉男外野手(41)が今季限りで現役を引退することが12日、分かった。自身の進退について球団側と会談することが今月4日に明らかになっており、熟考を重ねた末、この日までに引退を申し入れたもようだ。近日中に会見が開かれる。

 誰からも愛された「超人」がついにユニホームを脱ぐ。プロ19年目の今季は2年ぶりに開幕スタメンに名を連ね、3月25日のヤクルト戦では本塁打を含む3安打と最高のスタートを切った。3、4月こそ打率・296、3本塁打、15打点と快音を響かせたが、5月以降は失速。8月10日に新型コロナウイルスに感染し一時離脱。同23日、ウエスタン・オリックス戦で実戦復帰を果たしたものの、依然1軍昇格は見送られている状態で、08年の1軍定着後では最少となる61試合の出場にとどまっていた。

 そんな中、糸井が球団側に「進退について話し合いたい」と申し入れたことが今月4日に判明。この日までに両者で会談の場を設け、話し合いの末、背番号7は後進に道を譲る意向を固めた。糸井は来季の去就問題が表面化した翌5日には自身のツイッターに「しっかり話し また、ご報告させてください。」(原文まま)と投稿し、決断の時が近いことも示唆していた。近く開かれる会見で、本人の口から現役引退を虎党に報告するもようだ。

 激動のプロ野球人生だった。近大から03年ドラフトで自由獲得枠として投手で日本ハムへ入団。06年途中に外野手へ転向し、09年から6年連続で打率3割をマークした。その後、オリックスを経て、16年オフに国内フリーエージェント(FA)権を行使して阪神に移籍。主軸として猛虎をけん引した。その一方、故障とも闘い続けた。18年に右足腓骨(ひこつ)骨折、左肩腱板(けんばん)を部分損傷。19年からは古傷の右膝痛にも悩まされる日々。不惑を迎え、コンディション面で苦労を重ねながらも、チームのため、懸命に体を張った。若虎の活躍を自分のことのように喜び、たたえてきたからこそ、41歳は誰からも慕われてきた。

 残り10試合。リーグ3位でのクライマックス・シリーズ(CS)進出を懸けた熱戦の最中だが、糸井も当然、戦力として勝利に貢献することをあきらめたわけではない。自身の花道を日本一で飾るべく、いつ1軍から声がかかってもいいように、きっちりとコンディションだけは整えていく覚悟だ。

 ◇糸井 嘉男(いとい・よしお)1981年(昭56)7月31日生まれ、京都府出身の41歳。宮津では甲子園出場なし。近大では4年春に5勝を挙げてMVP。03年ドラフト自由獲得枠で投手として日本ハム入団。06年途中に外野手へ転向し、09年から6年連続で打率3割をマーク。13年1月にトレードでオリックスへ移籍。16年オフにFA権を行使して阪神に移籍。13年第3回WBC日本代表。1メートル88、99キロ。右投げ左打ち。

続きを表示

2022年9月13日のニュース