ウサギ?カメ?ロッテの5年目・森らしいプロ初勝利が見たい

[ 2022年8月28日 07:30 ]

ロッテ・森遼大朗
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 ウサギとカメ。この例えで言うならば、ロッテの5年目・森遼大朗投手は「カメ」かもしれない。

 8月7日の西武戦。プロ初先発となったマウンドは、一瞬のうちに飲み込まれた。

 立ち上がりの初回を3者凡退で仕留めると、2回に川越の犠飛で1点を失ったが、3回2死満塁のピンチを栗山を右飛に斬ってしのいだ。

 4回のマウンドに向かう時点では2―1だった。愛斗、川越を打ちとって、簡単に2死としたが、四球を与えると、ここから5連打。最後は山川に左越え3ランをど派手に放り込まれた。

 育成選手として4年間、2軍で過ごし、昨オフに支配下登録された。プロ初登板だった7月30日のオリックス戦は中継ぎで1回無失点。2度目の登板でつかんだ先発機会は、4回8安打7失点と散った。

 見事に打ち砕かれたが、試合後の森は前向きだった。

 「まずは、ずっと目標にしていたことだったので、一つの目標を達成できたのはよかったのかなと思います」

 苦労してきた野球人生だったからこそ、階段を一つ上がったことを素直に喜んでいた。率直な感情も聞いてみた。

 「マウンドに上がる前は、凄く緊張していました。上がってからは、自分のできることを精いっぱいやるだけで、降りてからはもう少し(力を残さず)出しておけばよかったなと思いつつも、これは通用するんじゃないかなとか、自己分析もできた」

 状況に応じて、感情が揺れ動くことも把握したという。直球の最速は148キロ。160キロを連発する佐々木朗に比べれば、驚くスピードでないが、豊富な球種を丁寧にコーナー、そして低めに投げ続けるスタイルが信条だ。

 「ある程度、丁寧にきっちりと投げておけば、それなりに1軍でも抑えられると感じたが、とにかく甘い球ばかりを打たれてしまった。そこに1、2軍の差があるなと感じました」

 宮崎・都城商時代。プロ入りを目指し、3年夏が終わっても練習に明け暮れたが、ダッシュをした際に左膝を痛め、手術を受ける大怪我を負った。

 それでも、プロに行きたかった。「ケガをしてしまったので、育成でもチャンスがあるならばという気持ちでした」。ドラフト時は車いすで指名を待ち、新人合同自主トレは松葉杖から自力で歩行できるようになったところだった。

 「4年間は長かった」と振り返るが、そんな男だからこそ慌てず、焦ることなく、足下を見つめることができるのだ。

 29日のソフトバンク戦(京セラドーム)で、自身2度目の先発を託される見込みだ。相手打者を圧倒するような快投はいらない。丁寧に、そして粘り強く投げる姿を見たい。その先にプロ初勝利が待っていると思う。(記者コラム・横市勇)

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2022年8月28日のニュース