西武・外崎 水害の地元に雄姿届ける8号3ラン 昨年負け越し楽天に今季勝ち越し決めた

[ 2022年8月14日 05:11 ]

パ・リーグ   西武6-4楽天 ( 2022年8月13日    楽天生命 )

<楽・西>4回、外崎が左中間に3ランを放ち大喜びでベンチに迎えられる(撮影・篠原 岳夫)
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 台風8号の接近で、楽天生命パークの風向きは何度も変わった。試合の流れも同じだった。今季最多16安打ながら6得点。一時は1点差まで迫られた首位・西武は、1番・外崎の8号3ランが大きかった。

 打った瞬間は「入るかどうか」という感触だった。辻監督は少年野球時代から「常に旗の向き(風向き)を見ろ」と言われ、自身もそう指導してきたという。4回に1点勝ち越し、なお2死一、二塁。その風に乗せて田中将から左中間への一撃。外崎は、風だけでなく「逆転した勢いに乗れた」とも言った。

 9日に青森県内を襲った記録的な大雨。地元・弘前市内も冠水被害にあった。実家が営む「外崎リンゴ園」は高台にあり無事だったが「近くの人たちは大変だと思う」。実家に「大丈夫だった?」と電話を入れると、車で10分ほどの岩木川が氾濫したと聞き、心を痛めた。

 実家は、生まれる前年の91年9月に台風19号で被害を受けた。別名「リンゴ台風」と言われたほど。大事なリンゴが全滅し、多額の借金を抱えた。それでも両親は「好きなことをさせてやりたい」と新たな借金をしてまで硬式用グラブを買ってくれた。台風が近づく中、しかも東北での試合に「勇気を与えることができればうれしい」の思いだった。

 楽天生命パークでは今季8連勝。昨年7つ負け越した楽天戦は、13勝5敗1分けで今季の勝ち越しを決めた。貯金10は最多タイ。「次戦も勝てるように頑張る」。後半戦から固定された1番・外崎が、3年ぶりリーグ制覇の「追い風」になる。(神田 佑)

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