日本ハム・清水 延長10回に野球人生初のサヨナラ打、チームは引き分け挟んで3連勝

[ 2022年8月12日 06:00 ]

パ・リーグ   日本ハム3―2西武 ( 2022年8月11日    札幌D )

<日・西>10回、サヨナラ打を放ちナインから祝福される清水(撮影・高橋茂夫)
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 日本ハムの清水優心捕手(26)が11日の西武戦の延長10回に野球人生で初となるサヨナラ打を放ち、首位相手に2勝1分けで勝ち越し、引き分けを挟んで3連勝を飾った。正捕手候補として期待されながら今季は2軍降格も経験したが、精神的に成長して再昇格。リーグ最多タイ5度目のサヨナラ勝利に導き、札幌ドームに詰めかけた今季最多3万3754人のファンを沸かせた。

 悔しさは劇打で一気に吹き飛んだ。チームメートからもみくちゃにされ、歓喜の輪の中で笑みがはじけた。近藤の逆転サヨナラ弾が飛び出した9日に続き、今カード2度目のサヨナラ勝利を呼び込んだのは清水のバットだった。

 「人生でサヨナラ打が初めてだったので、最高に気持ち良かった。本当に苦しい時期があった。このために暑い鎌ケ谷で練習してきた」

 目の前で今川が申告敬遠で歩かされた、延長10回2死一、二塁。ここまで3打数無安打だったが「思い切りがいい」と打席を与えてくれた新庄監督の期待に応えるべく、低めのカットボールを左手一本でしぶとく左前へ。代走・中島が好走塁で決勝のホームを踏んだ。試合前に新庄監督からバットのヘッドの重みを感じて打つように指導されていた。力任せに振る悪癖が矯正されたことで、うまくバットのヘッドが返り、ボテボテの当たりながら三遊間を破った。指導が実った指揮官も「今日はうれしくて寝られないんじゃないかな。楽しい試合を見せられたのはめちゃくちゃうれしい」と喜んだ。

 清水の母校・九州国際大付は新型コロナウイルスの集団感染で出場が危ぶまれながら、この日の甲子園初戦で強豪・明徳義塾に勝利。大会前には育成・柳川、広島・三好と卒業生3人でオリジナルTシャツを贈った。後輩たちの活躍に「本当に刺激になった。後輩が頑張っているので負けられない」と力に変えた。

 昨季は自己最多100試合に出場。正捕手獲りを狙った今季は4月5日のロッテ戦で送りバントを失敗し、同9日に2軍降格。7月16日の再昇格まで2軍暮らしが続いた。「落ち込んでいるのを見たら後輩もいい思いをしない」と態度を表に出さず、チャンスを待ち続けた。捕手としてもプロ初先発の鈴木を巧みにリード。「好リードというか健矢がよく投げてくれた」と女房役らしく鈴木を称えたが、攻守で存在感を示した。

 「一から見つめ直せて、精神的にも鍛えられた。(2軍での)3カ月は決して野球人生においてマイナスじゃなかった」。苦悩の時期を乗り越え、清水にようやく笑顔が戻った。(東尾 洋樹)

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