日本ハム・中島の卓越のバント 史上21人目の通算250犠打達成も「通過点」

[ 2022年8月5日 15:20 ]

4日のソフトバンク戦、5回に犠打を決めた日本ハム・中島
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 難しいプレーもいとも簡単にこなす。しかし、本人から返ってくる言葉は「それくらい、当たり前」――。そのプレーの裏側を取材したいのだが、本人は「凄い」などみじんも感じていないからこそ困ってしまう。日本ハム・中島は記者泣かせである。

 4日のソフトバンク戦で、史上21人目の250犠打を達成。一見普通の犠打に見えたかもしれないが、実はレベルの高いバントだった。3点を追う中盤5回無死一、二塁と100%犠打の場面。しかし中島は最初からバントの構えは見せず、相手投手が投げるギリギリまで通常の打撃フォームで右足を上げ、三塁方向への犠打を成功させていた。

 最初からバントの構えをしていれば、守備側は併殺を狙うシフトを敷きやすい。しかし、ギリギリまで通常の打撃フォームで「打つぞ」という構えを見せておくことで守備者の一歩目は遅れる。自身もバントの構えが遅れることで失敗のリスクも高まるが、それでも成功できるのは中島だからなせる技だろう。

 二塁でレギュラーをつかみ始めた14年、中島が語っていた忘れられない言葉がある。「大谷のように本塁打を打てる打者ではない。かと言って守備と走塁だけでは、レギュラーにはなれない。打撃で何か特長を探さないといけなかった」。生き残るための活路として見いだしたのが、打席での「粘り」や「犠打」だった。

 今回250犠打達成のコメントも、祝福するボード掲示もなかった。元々本人も「通過点でしょ」と話していたように、静かに偉業を達成したのも中島らしかった。
(日本ハム担当・清藤 駿太)

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