阪神・青柳 球団先発右腕では村山実以来9連勝で通算50勝到達、球宴では敵将に“取材”も敢行

[ 2022年8月3日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神6ー3巨人 ( 2022年8月2日    東京D )

<巨・神>先発9連勝で通算50勝を達成した青柳(撮影・坂田 高浩)
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 阪神は2日、巨人戦に6―3で勝利し、夏の長期ロードは5年ぶりの白星発進だ。先発の青柳晃洋投手(28)が6回4安打3失点(自責1)の粘投で、自己最長となる9連勝で12勝目をマーク。球団右投手の先発9連勝は68年の村山実(11連勝)以来、54年ぶりの快挙。プロ7年目で節目の通算50勝にも到達するなど、エースの勢いは止まらない。

 勝利の女神もエース・青柳の投球にほれ込んでいるようだ。味方のミスを粘りの投球でカバーし、6回4安打3失点(自責1)にまとめると、直後の7回に味方が勝ち越しに成功。一度は遠ざかっていった12勝目が舞い込んできた。

 「僕一人で勝っているわけではない。北條が打ってくれたから点が入りましたし、チームが勝たせてくれたのがうれしい」

 3回まではパーフェクトに抑えていたが、2―0の4回は先頭の吉川に死球を与えると、流れは相手に傾いた。続く重信に中前打で、無死一、三塁となり、丸には初球を右前打されて1点を返された。なおも無死一、三塁。4番の岡本和は見逃し三振に抑え、二盗を試みた一走の丸を一、二塁間で挟んだが、三走・重信が本塁を狙いかけたことで、味方が失策。一気に2点を失った。

 思わず、唇をかんだが、5、6回は無失点でクオリティースタート(QS=6回以上、自責3以下)を記録。今季初めての火曜日の登板で仕事は果たした。5月14日のDeNA戦から自身9連勝とし、球団のレジェンド記録に肩を並べるのも時間の問題だ。同時に節目の通算50勝を達成した。

 「今の時代、100勝したらすごい投手ということですけど、(まずは)半分の50勝できて、うれしい」

 試合後にはウイニングボールをロドリゲスがスタンドに投げ入れてしまう一幕も…。ヒヤリとしたが、白星と同様、記念球は無事にエースの元に届いた。

 また、どこまでも貪欲な大黒柱は球宴の“手土産”も持ち帰ってきた。第2戦の練習中には意を決してヤクルト・高津監督に超異例の突撃。これまでも夢舞台とはいえ、ライバル球団の指揮官に“取材”する選手はいなかったが、青柳は違った。敵将が現役時代に武器としていた魔球シンカーの極意をどうしても聞きたかった。

 「普通のシンカーは斜めに曲がるけど、高津さんのシンカーは縦に落とすイメージ。成長するために覚えなきゃいけない球だと思っていた。右打者に遅いシンカーがあればツーシームも生きる」

 シンカーの精度向上で投球の幅も広げられると考えていた。目標の15勝へ、そして奇跡のVドラマ実現へ最高の“レシピ”を手に入れた。(長谷川 凡記)

 ○…青柳(神)が9連勝で12勝目。阪神でシーズン9連勝は03年に井川慶が12連勝して以来になるが、右腕では85年に中田良弘が開幕9連勝して以来。両投手はリーグ優勝に大きく貢献。また、中田は救援勝利を含んでおり、先発勝利のみの9連勝はリーグ2位だった68年に村山実が11連勝して以来、球団54年ぶり。

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2022年8月3日のニュース