ヤクルト・村上、ハイボール攻略で無双 ベースから離れて構え“打者有利のカウントに整える”

[ 2022年8月1日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト4―2阪神 ( 2022年7月31日    甲子園 )

<神・ヤ>9回、村上は2打席連続となる同点ソロホームランを放つ(撮影・椎名 航)
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 データでも、今季のヤクルト「村神様」の無双ぶりが如実に表れている。昨季と今季のコース別成績を比較すると、昨季は全39本塁打のうち、高めは2本、内角は4本しか本塁打を打てていなかった。しかし、今季は37本のうち、高めが9本、内角が8本と見事に攻略している。この日の3本は、元来ローボールヒッターの村上が、いずれも高めを捉えたものだ。

 昨季、左右の投手ともに0本だったのが内角高め。しかし、9回に左腕・岩崎から放った同点アーチは、このコースへの直球だった。村上は右投げ、左投げの違いについては「出てくる出だしの球というか、球自体が違うので、いろいろ工夫しながらやっています」と言い、元々左投手は苦にしていないが、分が悪かった「高め」と「内角」を仕留めた一発に、今季の進化を感じさせた。

 セ・リーグ某球団のスコアラーが特長に挙げるのは「打者有利のカウントに整えることができる」という、ベースから離れて構えるスタイルだ。強打者を封じるセオリーは内角攻め。しかし、普通の打者よりもベースから離れて立っているため、打者に近く投げ過ぎれば完全なボール球となる。さらに「少しでも甘く入ると、ベース板の内寄りでも村上にとってはど真ん中になってしまう」と始末が悪い。かといって外角のストライクゾーンには踏み込み、逆方向にも本塁打を打てる技術とパワーを兼ね備える。まさに投手は八方ふさがりだ。

 「中途半端なコントロールの投手だと、インコースを突いてもボールが先行して打者有利のカウントに持ち込まれるだけ」と同スコアラー。内外角の揺さぶりが通じない上に、高めを仕留める精度が上がってきたとなれば、封じ込めるのは極めて困難と言える。(大林 幹雄)

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2022年8月1日のニュース