オリ・由伸ノーヒットノーラン 79年ぶり1シーズン4人「こんなに最後まで緊張するものなんだ」

[ 2022年6月19日 04:45 ]

パ・リーグ   オリックス2―0西武 ( 2022年6月18日    ベルーナD )

<西・オ>ノーヒットノーランで7勝目を挙げた山本(中央)はナインから盛大な祝福を受ける(撮影・西川祐介)
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 オリックスの山本由伸投手(23)が18日の西武戦で史上86人目、通算97度目)のノーヒットノーランを達成した。9奪三振で走者は四球の1人のみの準完全投球。球団では10年ぶり9人目、10度目。リーグトップ7勝目を挙げ、チームの連敗を6で止めた。完全試合を達成したロッテ・佐々木朗らに続く4人目の快挙。シーズン4投手がノーヒットノーランを記録するのは43年以来79年ぶりで6月までに4度は史上初となった。

 自ら一塁ベースを踏んで完成させた。102球目、148キロの高速フォークで最後の打者を一ゴロ。ベースカバーに入り一塁手・山足の返球を受けた山本は白球を握りしめた。ベンチ、ブルペンからも押し寄せたナインから歓喜のウオーターシャワーを浴びせられ、びしょ濡れになりながら白い歯を見せた。

 「ホッとしたというか。9回を投げている時も、凄いドキドキしていましたし、こんなに最後まで緊張するものなんだなと、投げながら思いましたね」

 重圧がかかる最終局面でも、絶対エースは余力を残していた。9回1死無走者で、代打・森と対峙(たいじ)して真っ向勝負を選択。カウント2―2からの5球目、この日最速の155キロを外角低めに投げ込んで、巧打者のバットを凍らせて9個目の三振を奪った。

 「今日はフォークでも150キロが出ましたね。もし今から、もう1イニングを投げても、投げられると思います。そういう練習を、昔からやってきました」

 許した走者は、5回2死からの外崎に与えた四球のみ。「四球を出して最悪だと思ったけどギリギリ切り替えられた」。コースを丁寧に突く直球にフォーク、カーブ、スライダーを効果的に織り交ぜて打者28人で、ねじ伏せた。敵地のファンさえ拍手を贈る快投劇。西武戦は昨年7月2日から6連勝で同8月20日の4回から37イニング無失点。かねて「いつかやりたい」と口にしてきた快挙を成し遂げた。

 岡山・伊部小1年で出合ってから野球漬けの人生だ。眠りが浅い体質で、登板前夜は必ずといっていい頻度で悪夢を見る。徹底的に打ち込まれ大量失点する夢だ。「めっちゃ打たれるんです、夢では。詳しくは覚えていないんだけど、とにかく点を取られまくる。寝る前にも、野球のことばかり考えているからだろうな」。幼少期から投手を務めた試合で負ければ、帽子を目深にかぶり直し、こぼれる涙を隠した。都城高時代も甲子園には届かなかった。思いがこもった102球だった。

 リーグトップ7勝目、防御率1・55と合わせて2冠。今季66試合目でのチーム初完投をノーヒッターで飾り、チームの連敗を6で止めた。「連敗をしていたので、絶対に勝ちたかった。こういう流れを止められたり、チームを流れに乗せられたり。そういった選手になりたい」。絶対エースが今季も凄まじい存在感を放っている。(湯澤 涼)

 ○…山本(オ)が自身初のノーヒットノーランを達成。6月7日日本ハム戦の今永(D)以来プロ野球86人目、97人目で、パ・リーグでは5月11日西武戦の東浜(ソ)以来31人目、32度目。チームでは12年10月8日ソフトバンク戦の西以来10年ぶり9人目、10度目。今季は4月10日オリックス戦で佐々木朗(ロ)が完全試合を達成しており、シーズン4人目は、1リーグ時代の43年に5月2日南海戦の天保義夫(阪急)、同22日名古屋戦の藤本英雄(巨)、同26日大和戦の別所昭(南海)、10月12日大和戦の石丸進一(名古屋)の4人以来79年ぶり。史上最多は40年の5人。

 ○…許した走者は5回外崎の1四球だけ。許した走者1人だけで完封した「準完全」は前出の今永に続く52度目。チームでは40年4月14日阪神戦の浅野勝三郎(四球)、67年7月18日西鉄戦の米田哲也(二塁打)、前出12年の西(四球)に次ぐ4人目。

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2022年6月19日のニュース