広島・床田、リーグトップタイ6勝「先に点を与えないように」マー君に投げ勝った

[ 2022年6月8日 05:00 ]

交流戦   広島3―1楽天 ( 2022年6月7日    楽天生命パーク )

<楽・広>試合後、ファンの声援に応える床田 (撮影・白鳥 佳樹) 
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 広島・床田寛樹投手(27)が7日の楽天戦で7回2安打1失点と好投し、リーグトップに並ぶ6勝目を挙げた。19年6月14日に球団ワーストタイの5被弾を浴びた敵地で、苦い思い出を振り払う快投を演じた。田中将との息詰まる投げ合いを制し、チームの連敗を3で止めた。

 3年前の床田は、楽天生命パークの一塁側ベンチで悔し涙を流した。「あれを忘れることはない」。5被弾し、2回途中で降板して以来となる仙台のマウンド。普段の冷静沈着から打って変わり、立ち上がりからアドレナリン全開だった。

 「立ち上がりに思いきり、力を入れた。絶対にやり返したいと思ってマウンドに上がったので、勝手に力が入った。何が何でも(勝つ)と思って試合に入りました」

 3年前の楽天戦では大半の直球が140キロを超えずに、変化球で逃げ続けるしかなかった。だがこの日は違った。序盤から常時140キロ台後半を計測した伸びのある直球で、真っ向勝負を挑んだ。5回まで1安打6奪三振と制圧。2―0の6回1死一、三塁、島内の一ゴロの間に許した生還が唯一の失点で、田中将と演じた投手戦を投げ勝った。

 「めちゃくちゃ良い投手なので、先に点を与えないようにと思っていた。向こうの流れに乗って投げられた」

 19年の楽天戦では、それまで自信を持っていた直球が突如として球威を失った。疲労が蓄積すると、一気に調子を落とすのが例年の課題だった。転機となったのは、昨年5月下旬からの3カ月間の降格。2軍で調子の上がらない姿を見かねた九里から電話がかかってきた。「シーズン中もしっかりとウエートを取り入れてみれば?」。その助言を参考に、ウエートトレを週2回から4回に倍増すると直球に切れが戻った。例年、調子を落とす時期に本調子を維持できているのは、今季も積極的に取り入れているウエートトレで、土台を築き上げてきたことが生きている。

 6回終了時で球数は105球を数えた。それでも続投させた佐々岡監督は「6回の投球を見て、まだまだいけるという気持ちで7回もいかせた」と理由を説明し、体力面での成長を認めた。「(楽天に)あと5回ぐらいやり返してトントンかな。今日でリベンジは、まだできていない」。仙台の悲劇から3年。今回は涙ではなく、心地よく流した汗をタオルでぬぐった。 (河合 洋介)

 ▽床田の1試合5被弾 2019年6月14日の楽天戦(楽天生命)に先発し、初回、茂木に先頭打者弾を浴びると、その後もブラッシュに3ラン、ウィーラーにソロを浴びて1イニング3被弾。2回も先頭の太田、浅村に被弾し、1回2/3を5被弾7失点で降板した。最速は143キロどまり。広島投手の1試合5被弾は10年6月29日巨人戦でスタルツが喫して以来6人目の球団ワーストタイ記録だった。降板後はベンチで悔し涙を流し、「今まで野球をやってきて一番(ショック)」などと言葉を絞り出した。

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2022年6月8日のニュース