広島・床田、傷だらけのヒーロー「拭いたら血が…」走塁こけても完封4勝

[ 2022年5月11日 05:30 ]

セ・リーグ   広島3-0阪神 ( 2022年5月10日    甲子園 )

<神・広>5回、走塁中に転倒して泥まみれになった床田(撮影・大森 寛明)
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 広島の床田寛樹投手(27)が10日の阪神戦(甲子園)で快投を演じた。今季最多の126球を投じ、9回を5安打零封。昨年9月21日の巨人戦(マツダスタジアム)以来となる自身2度目の完封で、リーグトップに並ぶ4勝目を飾った。打ってはライアン・マクブルーム内野手(30)が6回に来日初となる2戦連発の5号決勝2ラン。首位・ヤクルトにゲーム差なしで肉薄した。

 予期せぬアクシデントを乗り越えて勝利をつかんだ。敵地でのヒーローインタビュー。昨年9月21日の巨人戦以来となる自身2度目の完封で堂々の今季4勝目を飾った床田は、照れ笑いを浮かべる中に1人で投げ切った充実感をにじませた。

 「最後はちょっと疲れました。どうなることかと思ったけど、野手の人に守ってもらった。何とか投げ切れたので良かったです」

 最終9回が最大の見せ場だった。連打で無死一、二塁とされて迎えた敵の中軸。マルテを外角直球で中飛に仕留めると、佐藤輝は内角ツーシームで右飛、大山も同じ変化球を外角に投じて三ゴロに斬った。最後まで球の威力は衰えず、集中力も切らさなかった。

 自ら左前安打を放って出塁した5回2死では、全力疾走していたからこその奇禍もあった。続く中村健の左前打で二塁ベースを蹴った際に、バランスを崩して激しく転倒。顔は甲子園の黒土にまみれ、口元には血がわずかににじんだ。

 「ばり恥ずかしかった。(口元に)できものができていて、砂まみれになって拭いたら血が出た。でも、問題なく投げられました」

 闘志あふれる結果の出血に、できものがつぶれるという“オチ”を付けるところが床田らしい。「軟らかい土だったから良かった」。佐々岡監督はそう安堵(あんど)する。9回続投には「トコ(床田)も当然行きたい気持ちだったろうし、彼の目を見て行かせた。よく投げてくれた」と絶賛した。

 今季最多126球の熱投でチームの3連勝に貢献。床田自身も勝ち星でリーグトップに並ぶなど、6年目は順風満帆そのものだ。
 「3年前にキャリアハイの7勝をした時も(3月と)4月(で4勝)、5月(1勝)に勝ってそこから勝てなかった。一試合一試合しっかり投げて、キャリアハイを目指したいです」

 慢心はない。手応えをつかみ、欲が芽生えた27歳が頼もしい。(江尾 卓也)

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2022年5月11日のニュース