日本ハム開幕投手は育成選手!?しかも昨年野手から転向したばかり…姫野あるぞ前例なきサプライズ

[ 2022年3月15日 05:31 ]

日本ハムの開幕投手候補に急浮上した姫野
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 日本ハムの開幕投手に、育成契約の姫野優也投手(24)が抜てきされる可能性があることが14日、分かった。16日の西武とのオープン戦(ベルーナドーム)で先発し、新庄剛志監督(50)が最終チェック。結果次第で支配下契約を結ぶことになる。昨年5月に投手転向したばかりで実績は全くない無名右腕が、25日の開幕ソフトバンク戦(ペイペイドーム)で大役を託されれば、前例のないサプライズプランとなる。

 新庄政権1年目で注目を集める開幕投手に、予想外の名前が浮上してきた。昨季チーム最多12勝のエース上沢でも、昨季新人ながら10勝の伊藤でもない。育成右腕の姫野が、16日の西武戦に先発。大役へのテスト登板となり、結果次第で支配下契約を結び、開幕戦のマウンドに上がる可能性が出てきた。

 開幕直前、しかも残り4試合となったオープン戦で育成右腕を試す意味を武田投手コーチは「ボスが試したいということなので。どこまで打者相手に投げられるか、間近で見たいと」と説明した。異例ともいえる時期のテストで、本番でのサプライズを予感させた。

 15年ドラフト8位で外野手として入団した姫野は、昨年5月に投手に転向したばかり。だが、2軍戦で最速155キロをマークするなど球威は一級品だ。新庄監督も期待を寄せ、2軍キャンプへ視察に訪れた元阪神の藤川球児氏に指導を依頼。日米通算245セーブの虎の元守護神から、体重移動の仕方などを伝授された。姫野自身「軸足の使い方など凄く勉強になった」と進化を感じ取っていた。

 開幕投手について「候補が13人くらいいる」としていた指揮官。前日には「いい投手を3、4番目に持っていったら、相手の投手は3、4番手。勝ちをもらえる」とエースは開幕に投入せず温存する持論を披露した。その上で「俺の考え方、まずは味方からだます。だいぶ慣れてきたと思うけど。こんなもんじゃねえぞ」とこれまで以上の衝撃を予告した。育成選手が支配下登録と同時に開幕投手を務めた前例などなく、投手に転向したての姫野は隠し玉となれる素質は十分に秘める。

 全選手にチャンスがあると訴え続け、「1、2軍とつけたくない。ビッグ組とボス組とつける」と意識付けから徹底。キャンプ初日から2軍のボス組視察を重ねてきた。3年連続5位からの巻き返しへ、チーム内の全戦力の総動員が不可欠で、チーム全体にも「本当に誰にでもチャンスがある」という格好のメッセージとなる。

 最終テストの結果次第では、同じく1軍登板の経験がない高卒2年目の18歳左腕・根本も候補に挙がりそうだ。いずれにせよ前例のない大抜てき。数々の常識をぶち壊してきた新庄監督なら、どんな一手を打ってきても驚きはない。

 【姫野 優也(ひめの・ゆうや)】

 ☆生年月日とサイズ 1997年(平9)4月2日生まれ、大阪府出身の24歳。天理を中退し、大阪偕星学園に編入。15年ドラフト8位で日本ハム入団。野手時代は18年に1軍で2試合に出場も、通算5打席で安打はなし。1メートル84、93キロ。右投げ右打ち。

 ☆野球を始めるきっかけ 6歳から水泳を始め、小3でジュニア五輪出場。目標を達成してしまい、団体競技に憧れていたため、同年に少年野球チームに入団した。

 ☆フリーター生活 天理に入学するも環境になじめず、1年夏に退学。その後は工事現場でアルバイトしていた。

 ☆甲子園出場 1年秋に大阪偕星学園に編入。高野連の規定で1年間、公式戦に出場できなかったが、3年春に控え投手としてベンチ入り。3年夏は中堅手兼投手として活躍し、同校初の甲子園出場を果たす。2回戦で九州国際大付に敗れるも、12打数4安打、1本塁打3打点と躍動。

 ☆投手転向のきっかけ 20年秋のフェニックス・リーグ中に「遊び」で投げたブルペン投球で150キロを計測。そのオフに戦力外通告を受け育成選手として再契約し、昨春に球団から投手転向の打診を受けた。

 ≪野手でプロ入りから大役なら2リーグ制後初≫野手としてプロ入りした選手が投手に転向し、開幕投手を務めれば2リーグ制以降では初めて。1リーグ時代には捕手で名古屋(現中日)に入団し、48、49年に2年連続で開幕投手を務めた服部受弘や36年に内野手で大東京入りし、43年に大和で開幕投手になった片山栄次らの例がある。野手から投手への近年の転向例では、91年ドラフト2位で内野手でオリックス入りした萩原淳が00年に投手転向し、通算270試合に登板。オリックスの張奕は16年育成1位で外野手で入団し、18年から投手に転向した。

 ▽育成選手 70人の支配下登録とは別の育成枠に属する選手。1軍の公式戦に出場することはできない。オープン戦などの非公式試合は出場可能で制限はない。2軍の公式戦では、出場は1試合5人まで。背番号は3桁。

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