阪神・ドラ2鈴木 トラの負けず嫌い王だ!新人恒例3000メートル走残り半周逆転V「頑張りました」

[ 2022年1月23日 05:30 ]

見事なラストスパートで森木(右)に大差をつけてゴールする鈴木(撮影・大森 寛明)
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 阪神は22日、新人合同自主トレで恒例の3000メートル走を実施し、ドラフト2位・鈴木勇斗投手(21=創価大)が残り半周で先頭を走っていた同1位・森木大智投手(18=高知)を抜き、トップでゴールした。虎の「負けず嫌い王」は俺だと言わんばかりの逆転劇。先発投手に欠かせないペース配分の妙も発揮した格好で、心身両面の持ち味を武器に開幕先発ローテーション争いにも食らいつく。

 残り半周から、鈴木の“末脚”がさく裂した。先頭を行く森木に一時、10秒ほど差をつけられながらも、最後の最後に逆転。先頭でゴールを駆け抜けた。

 「頑張りました。最後ちょっと(森木の)ペースが落ちてくるのが見えたので、これはいけると思っていた」

 鳴尾浜球場の内周を8周する3000メートル走。前半は森木、中川らを先に行かせて足をためつつ、静かに背中を追った。そして先行する右腕に疲れの色が見え始めた最後の1周で果敢にラストスパート。大卒左腕がしっかり威厳を示した。

 終盤まで先頭を走っていた森木からは「性格的に絶対(追いついて)来るって分かっていた」と“証言”されるほどの負けず嫌い。自らも「あまり言いたくないですけど…」と前置きした上で「中学2年の頃に学級委員長を決める日があって立候補したんですけど、なれなくてすごく泣いたのを覚えています」と、その性分を物語る逸話を明かした。負けたくない――。勝負の日々を送るプロ野球選手にとって、最も大事な要素と言える。その長所が凝縮された「12分33秒」と言えた。

 明らかになった“ポテンシャル”は、負けず嫌いの性格だけではない。この日、トップに立つ原動力となったのはスタミナ、ペース配分、観察眼…。鹿屋中央高時代の冬場、毎日10キロを走る過酷なランニングメニューで鍛えられたおかげで、知らず知らずの間に身につけたものだ。それらもすべて先発に生きる要素だろう。「視野が狭くならずに走れていた。こういうのもピッチングに生かしていきたい」とうなずいた。

 ゴール後、他の選手が苦悶(くもん)の表情を浮かべる中、鈴木には笑みさえも見られた。キャンプ1軍スタートが決定し、2月1日からは先発ローテーション争いに身を投じる。マウンド上でも3000メートル走で披露した強みを存分に発揮し、笑顔で開幕を迎えてみせる。(長谷川 凡記)

《近年の阪神新人長距離走》★13年 3500メートル走でドラフト1位の藤浪が13分56秒。10秒差で2着の同2位・北條は「藤浪は大股なのでセコイ」とぼやき。
 ★16年 3000メートル走でドラフト2位の坂本が11分21秒でトップ。「青柳と板山の前評判が高かったそうなのでその2人には負けないようにしようと思っていました」
 ★17年 ドラフト8位の藤谷が11分14秒。4年前に藤浪も1着だったと聞き「藤浪さんと一つでも同じことがあるのはうれしい」。
 ★19年 ドラフト2位の小幡が3000メートル走となった14年以降では最速の10分51秒。前年12月の30メートル走3秒98に次ぐ“2冠”。
 ★20年 ドラフト4位の遠藤が11分16秒で1着。「及川が体力測定とか全部1位だったので、どれか一つ1位を獲ってやろうと思って走った」
 ★21年 新人唯一の高校生、ドラフト7位の高寺が11分27秒で1着。「最後の1周になって体力が残っていた」。同1位の佐藤輝は腰の違和感でリタイア。

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2022年1月23日のニュース