広島・会沢 護摩行で授けられた宮本武蔵の2つの言葉 「チームのために」V奪還誓った

[ 2022年1月10日 05:30 ]

護摩行に臨み、燃え盛る火柱の前で経を唱える会沢(撮影・河合 洋介)
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 広島・会沢翼捕手(31)が9日、鹿児島市内の最福寺で堂林と恒例の護摩行に臨んだ。300度超の熱さに耐えて己の心を鍛える荒行に6年連続で参加。池口恵観宿老(85)から宮本武蔵が用いた「浩然之気(こうぜんのき)」などの言葉を授かり、佐々岡監督を胴上げするために尽力することを誓った。

 会沢の表情は、例年以上に苦しそうだった。池口恵観宿老が「最初は心配した」と振り返るほど。そこから誰よりも声を張り上げながら不動真言を唱え、火柱に立ち向かった。昨季の故障から、もう一度はい上がろうとする姿と重なっていた。

 「苦しい行ですし、しんどかった。自分に負けないように、チームのために、チームが優勝できるようにという思いで臨みました」

 池口宿老は限界からはね返そうとした姿に今季に懸ける思いを見た。「新井も(気持ちが)強かったけど、会沢は新井よりいいかもしらんね」。正捕手をつかみきれずにいた17年1月、先輩の新井貴浩氏(本紙評論家)と石原慶幸氏に同行してから6年連続で護摩行に参加している。今年は護摩木1600枚がくべられ、約90分間火柱と向き合った。

 池口宿老からは宮本武蔵が用いた2つの言葉を授かった。“天地に恥じることのない正しい行動をすれば、何事にも屈しない勇気が満ちてくる”という意味の「浩然之気(こうぜんのき)」と“やるべきことを見失わずに一生懸命励む”「万里一空(ばんりいっくう)」。精神的支柱を担うだけに「やるべきこと」は分かっている。

 「(目標は)チームのことしかない。佐々岡監督を胴上げできるようにやるだけです」

 昨季は2度の負傷離脱だけでなく、若手捕手の台頭もあって出場70試合にとどまった。同じ捕手の坂倉はリーグ2位の打率・315を残した。いずれ自らの立場を脅かすかもしれない存在だとしても、若手の成長ならば大歓迎。かつて正捕手の石原氏が会沢に助言を惜しまなかったように、自らも坂倉との良き関係性を望んでいる。

 「若手うんぬんではなく、切磋琢磨(せっさたくま)してやっていければいいと思う。チームがずっと悔しい思いをしているし、みんなの口から悔しいと出ている。優勝に向かって一丸となってやっていきたい」

 宮本武蔵は長年の修行で到達した境地として「万里一空」を説いた。会沢も経験は豊富。炎と対峙(たいじ)した時間もチームのことを思っていた。(河合 洋介)

 ▽宮本武蔵(みやもと・むさし)江戸時代初期の剣術家で、2刀を用いる「二天一流」の開祖。13歳から29歳まで60余度の勝負に無敗とし、京都の吉岡一門との戦いや、巌流島の佐々木小次郎との決闘が有名。兵法家として晩年に「五輪書」を著した。1645年(正保2)64歳で没したとされる。

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