セ新人王に広島・栗林 史上最多、特別賞5人の背景を解説 誰が選ばれてもおかしくないハイレベルな争い

[ 2021年12月16日 05:30 ]

NPB AWARDS 2021 ( 2021年12月15日 )

最優秀新人賞を受賞した広島・栗林
Photo By 代表撮影

 プロ野球の年間表彰式「NPB AWARDS 2021 supported by リポビタンD」が15日、東京都内で開かれ、セ・リーグの最優秀新人(新人王)に広島・栗林良吏投手(25)が輝き、新人特別賞には史上最多となる5選手が同時選出された。かつてないハイレベルな争いの模様と、異例の計6選手選出の背景を、新人王投票者でもあるスポニチ本紙の秋村誠人専門委員(59)が解説した。

 セ・リーグの最優秀新人賞は得票数だけを見れば、広島・栗林の圧勝だった。有効投票数306票のうち201票を獲得。2位のDeNA・牧とは125票差だ。ただ、この数字には表れないし烈な争いがあった。史上最多の特別賞5人選出はその結果だろう。

 まれに見る新人の当たり年。栗林は、受賞インタビューでこう言った。「いいライバルに恵まれて、切磋琢磨(せっさたくま)しながらできたおかげだと思う」。投手3人と野手3人が高いレベルでしのぎを削った。東京五輪にも出場した栗林が休みなく、夏場から終盤戦でもセーブを挙げ続けられた要因の一つと言える。相乗効果から特別賞の5人が最優秀新人に匹敵する成績を残した。

 前半戦は阪神・佐藤輝が本塁打を量産。大本命と見られていたが、7月に入って失速する。代わって牧が後半戦に調子を上げて打率.314。阪神の中野と伊藤将は1年通じて結果を残し、ヤクルト・奥川は終盤の優勝争いでエース級の働きをみせるように。もし栗林がいなければ、誰が最優秀新人に選ばれてもおかしくなかった。

 過去にも複数人が特別賞を受賞した例はある。投手4冠に輝いた近鉄・野茂が新人王の90年、パ・リーグは西武・潮崎、近鉄・石井、日本ハム・酒井の3人。92年のパも98年のセも3人だ。共通するのは、争った選手らが後に球界を代表するような選手に育ったこと。今年の6選手も球界の世代交代を進めていくことが期待される。

 ちなみに、筆者は栗林に投票した。東京五輪での成績は評価対象ではないが、全5試合に投げ2勝3セーブで金メダルにも貢献しながら、歴代2位の20試合連続セーブのままシーズン完走。守護神として安定した成績を残した点を重視した。とはいえ、特別賞の5人との差はない。正直、かなり迷った。その迷いの先に期待するのは、彼らが球界を代表する選手に育つ姿だ。

 ▽新人特別賞 新人王は運動記者クラブに加盟する記者の投票で決まる。新人王にふさわしい成績を残した選手がリーグ内に複数存在した場合、新人王とは別に新人特別賞が設けられて表彰されることがある。昨年はセ・リーグで広島・森下が新人王に輝き、巨人・戸郷が新人特別賞を受賞した。新人特別賞の過去の最多選出人数は90年パ、92年パ、98年セの3人だった。

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