イチロー先生 千葉明徳に“上”目指す野球伝授!県8強の壁越えたい…理事長の熱い思い届き夢授業実現

[ 2021年12月4日 05:30 ]

千葉明徳の選手の指導に訪れ、走塁の指導をするイチローさん(中央)
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 イチロー先生がやって来た!マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチローさん(48)が3日、千葉明徳の野球部を臨時指導した。昨年の智弁和歌山、先月末の国学院久我山(東京)に続き、3校目。同校は甲子園出場経験がなく、過去最高の「8強」の壁を越えたいとの理事長の熱い思いが届き、前日から2日間の指導が実現した。走塁練習では超一流の技を伝授し、絆の証として打撃練習で使用したバットをプレゼントした。 

 上を目指したい――。強い思いが、レジェンドの心を動かした。昨年12月の智弁和歌山での指導後、真っ先にイチローさんへ願い出たのが千葉明徳だった。夏の千葉大会は3年連続で8強で敗退。同校の福中儀明理事長が「夏の(千葉)大会ベスト8の壁を越えたい」と熱意のこもったメッセージを送り、訪問が決まった。

 イチローさんによる上達への教えは細部にわたった。最初のメニューは走塁練習。まず、一塁から二塁にかけて2本の白線を引いた。その幅はベースの幅15インチ(約38・1センチ)とほぼ同じ。実際にけん制球を交えながらの二盗の練習で「1歩目の切り方。右足を少し下げて、ややオープンに構えて1歩目をここ(ライン内)にもってくる」と解説した。

 日米通算708盗塁の走塁技術は、まず二塁に向かって真っすぐ最短距離で走ること。リード時の重心の置き方、一塁から三塁へ向かうベースランニングのコツも伝え、3年生を含めた計63人の千葉明徳の部員も真剣な表情で聞き入った。岡野賢太郎監督(33)には、盗塁のスタートを切るふりをするフェイントの頻度について助言。「あまり頻発すると効果は生まれない。特に強いチームとやる時は。“上を目指す”ために頭に入れておいて」と強調した。

 走塁だけではない。外野手としてメジャーでゴールドグラブ賞を10年連続で獲得した極意も伝えた。「あえて半身で捕っていた。(捕る直前に)ボールが動く。その時に動ける体勢をつくれるように」。送球は「時間をかけていいから、捕ってから形をつくる。正確性が大事」と訴えた。激戦区の千葉を勝ち抜くため、徹底すべきポイントを基本動作から指摘した。

 今後は年内に他に1校を指導する予定。練習後にはこの日の打撃練習で使った黒バットをプレゼントした。「高校生はひと冬で変わる。しんどくなっても、これ(バット)を見て、思い出してくれれば。こんなにうまくなった、という報告を楽しみにしています」。そう言葉を掛け、グラウンドを後にした。

 ≪強風の中で本塁打に「うれしい~」≫イチローさんはフリー打撃も実演した。高さのある外野ネットに引かれたオレンジ色のラインを越えると本塁打扱いとされ、48スイングで2本がそのラインを越えた。右翼から本塁に強風が吹いていたが「どんな状況でも一発入れないと終われないから」。最後のスイングで右翼に本塁打すると「うれしい~」と両手を上げて喜んだ。

 ▼岡野賢太郎監督 チーム事情、力、全部を本気で考えてくださった。(バットは)大会の時は必ず持って行って、お守り代わりにさせていただく。

 ▼作田凌太朗主将(2年) 思っていたイチローさんと印象が違った。質問もしやすくて、自分たちのためになった。

 ▼青柳克哉(2年)(イチローさんとキャッチボール)前に重心を預ける感じと、投げ終わりに地面を触るということを教えていただいた。

 【イチローさんとの一日】
 13:10 グラウンド到着。ランニング開始
 13:25 ウオーミングアップ中に部員と談笑
 13:45 走塁練習。一塁でけん制球からの戻り方、一塁から三塁への走り方、二盗のスタートの切り方を実演&助言
 14:30 部員とともにキャッチボール
 15:00 内外野に分かれてノック。外野ノックは実演
 15:30 シートノック
 15:55 ティー打撃を実演、35スイング。フリー打撃で48スイング中、柵越え2本
 17:20 フリー打撃終了。外野でクールダウン中の部員にイチローさんがあいさつ。全員で記念撮影し、グラウンドを後にする

 ▽千葉県の高校野球事情 実力的に伯仲した学校が多く「戦国千葉」と呼ばれるが、2010年以降で夏の千葉大会優勝は木更津総合が5度で最も多く、習志野と専大松戸がこれに次ぐ2度。10年以降の県勢のセンバツ出場は木更津総合と東海大市原望洋の2度が最多。今秋も県を制した木更津総合が関東大会で4強入りしセンバツ出場が有力視されている。

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