ヤクルト高橋が史上初!日本S初登板でプロ初完封 6年目24歳左腕「気合で」自己最多133球

[ 2021年11月22日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ2021第2戦   ヤクルト2―0オリックス ( 2021年11月21日    京セラD )

<オ・ヤ>完封勝利の高橋はガッツポーズ(撮影・村上 大輔)
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 日本シリーズの第2戦は21日、ヤクルトが2―0でオリックスを下して対戦成績を1勝1敗のタイとした。先発の高橋奎二投手(24)が、プロ最多の133球を投げ5安打に抑えてプロ初完投初完封勝利。日本シリーズ初登板でのプロ初完封勝利は史上初となった。18年の第3戦から始まったセ・リーグの連敗も13でストップ。第3戦はあす23日、東京ドームで行われる。

 偉業を成し遂げた大舞台のマウンド。高橋は力いっぱい、左拳を突き上げた。雄叫びも上げる。女房役の中村に右肩をもまれ、ようやく相好を崩した。

 「もう気合で投げました。9回まで投げられたので、そこが良かったと思います」

 8回を終え、122球に達していた。だが、シーズンとは異なる短期決戦。ベンチに戻ると伊藤投手コーチから人さし指を立てられた。「あと1回」。左腕も続投に迷いなし。「今日は絶対にやり返すぞという気持ちを持っていた」。守護神・マクガフで逆転サヨナラ負けを喫した前夜の悪夢を拭い去るためにも、一人で投げ抜いた。

 5回までは毎回走者を背負った。6回1死まで完全投球の相手先発・宮城とは対照的だった。「宮城君も凄いピッチングをしていた。“先に降りる(もの)か”と思いながらマウンドに立っていました」。終盤に崩れた宮城に対し、尻上がりに調子を上げた高橋は、6回以降は無安打投球。リズムを奪い返し、8回の先制、9回のダメ押し点につなげた。

 ピンチでは帽子を取って汗を拭い、グラブに目をやった。そこには「気」と刺しゅうされている。3勝を挙げ、14年センバツ制覇に貢献した母校・龍谷大平安の原田英彦監督(61)が、大切にしている文字だ。「弱気も、強気も、短気も全て気持ちの持ちよう」と教えられた。この日はプロ入り後初めて、その恩師が観戦。三塁側席で見守った原田監督の前で、動じることのない強い気持ちを体現してみせた。

 6、7、9回と3イニングで3者凡退も「3人で抑えた記憶がないですね。一人、一人と思ってバッターに投げていた」。極限の集中力。援護をもらい「ギアを上げて投げることができました」と8回には、この日最速タイとなる151キロを連発した。魂を込めた133球。9回5安打で、日本シリーズの完封勝利は08年の西武・岸(現楽天)以来13年ぶり。日本シリーズ初登板でのプロ初完封は、史上初の離れ業だった。

 星を五分に戻し、戦いの舞台は本拠地・東京へ。「本当に良かったです」。6年目の24歳左腕の快投が、チームを再び奮い立たせた。(川手 達矢)

 《最少援護点》高橋(ヤ)がシリーズ初登板で完封。日本シリーズの初登板初完封は08年巨人第4戦の岸(西)以来史上13人目で球団初。スコア2―0は85年西武第1戦の池田親興(神)の3―0を下回る最少援護点での快挙達成となった。また、高橋はレギュラーシーズンを含め初の完封。シリーズ初完封以前に公式戦で完封がなかったのは66年南海第6戦の益田昭雄(巨)以来55年ぶり2人目。益田はシリーズ4試合目での達成となっており、初登板でプロ初完封は高橋が初めてだ。なお、初登板に限らないヤクルト投手のシリーズ完封は、78年阪急第7戦の松岡弘、97年西武第2戦の石井一久に次ぎ3人目。

 ◇高橋 奎二(たかはし・けいじ)1997年(平9)5月14日生まれ、京都府亀岡市出身の24歳。龍谷大平安では2年春に同校のセンバツ初優勝に貢献するなど、甲子園に3度出場。15年ドラフト3位でヤクルトに入団し、18年10月2日のDeNA戦でプロ初勝利を挙げた。通算47試合に登板して10勝11敗、防御率4・26。1メートル78、73キロ。左投げ左打ち。

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