オリックス・ジョーンズ 逆転劇勝呼んだ四球 フォア・ザ・チーム精神でつなぎの意識

[ 2021年11月21日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ2021第1戦   オリックス4ー3ヤクルト ( 2021年11月20日    京セラD )

<オ・ヤ> 9回、アウトローの球を見極めるジョーンズ(撮影・大森 寛明)
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 【森繁和氏 シリーズ大分析1】日本シリーズの行方を左右する第1戦は、2点を追うオリックスが9回に逆転サヨナラ勝ちを収めた。本紙評論家の森繁和氏(67)は9回の攻防において、オリックスのジョーンズが無死一塁から選んだ四球に着目。さらに、鉄壁を誇ったヤクルトの救援陣で唯一不安のあった守護神マクガフの乱調が今後のシリーズに大きく影響すると分析した。

 これぞ日本シリーズ。最後まで勝負の行方は分からない。野球は怖いと改めて実感した。9回。ジョーンズの選んだ四球がオリックス勝利への分岐点だった。無死一塁から代打で登場。1ボールから外角低めのカットボール、内角のフォークに空振りして追い込まれるも、そこから厳しい外角球を見逃した。

 特に5球目は2球目の空振りと同じコースのカットボール。これにバットが止まる。ヤクルトバッテリーは三振か、引っ掛けさせての併殺打を狙っていたはず。メジャー通算1939安打。経験、実績とも豊富なジョーンズは、外国人選手にありがちな「俺が俺が」がない。打ちたい気持ちを我慢し、チームのために自分を殺すことができる。レギュラーシーズンでも得点圏では60打席で13四死球。これは安打数(12)よりも多かった。追い込まれてからの思考の切り替え、つなぎの意識が逆転サヨナラ勝ちを呼んだといっていい。

 同じ外国人のマクガフだが、ヤクルトにとって数少ない不安要素でもあった。シーズンでは8回を投げる清水とともに奮闘。31セーブを挙げた一方、9月は防御率5.91と不安定だった。短期決戦。ヤクルトは勝利が消えただけでなく奥川の好投、村上の一発などのいい流れが全てふいになってしまった。もちろん高津監督は今後も変わらず起用するだろうが、不安が残るのは間違いない。

 逆に不安なし、を印象づけたのが吉田正だ。右尺骨の骨折から復帰し、ほとんどの打席で芯で捉えるさすがのバットコントロール。サヨナラ打はフルスイングではなくミートに徹した打撃だったが、あれだけ振れれば問題なし。4番・杉本が3三振だっただけに、吉田正が「シリーズ男」になる可能性もある。

 ≪マクガフのセーブ失敗前半1→後半3≫マクガフ(ヤ)は今季途中から抑えに転向し、セ・リーグ3位の31セーブをマーク。セーブ機会での失敗も4度とそれほど多くはなかったが、期間別に分けると、前半戦の1度に対し、東京五輪による中断明けに3度と、後半戦はやや失敗が目立った。

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2021年11月21日のニュース