阪神・中野にイチロー流の資質 新任・藤井コーチが「4スタンス理論」で見抜いた

[ 2021年11月21日 05:30 ]

阪神・中野(左)を指導する藤井1、2軍巡回打撃コーチ(撮影・坂田 高浩)
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 新任の阪神・藤井康雄1、2軍巡回打撃コーチ(59)が20日、甲子園球場での野手組の秋季練習で初指導した。身体特性を分類した「4スタンス理論」を用い、中野拓夢内野手(25)をイチローらと同じ「A1」タイプとして助言するなど、持ち味全開の1日となった。

 若虎の打撃開眼へ藤井康コーチは初日から精力的に動いた。あいさつを済ませると、選手のウオーミングアップ時間を使って矢野監督と約30分間にわたって身ぶり手ぶりで打撃理論、指導方針を確認し合った。フリー打撃では佐藤輝にも熱視線。陽川、小幡らと会話を交わす中、1年目から新2番に定着して127安打を放った中野をさっそく指導した。

 「それなりに(自分が)思っているのに近い動きをしている」
 指導の根底にあるのは、打者が生まれながらに持つ重心を分類した「4スタンス理論」だ。報道陣には「まだタイプはチェックしてない」と話したが、中野本人との会話の中では、重心がつま先内側の「A1」型として“さわり”の助言を行ったという。中野も初めて触れる理論を興味深く振り返った。

 「A1でイチローさんだったり、そういうタイプと似ていると言われたので。似た選手のバッティングも参考にしながら、取り入れながらレベルアップできたらと思います。細かい身体の使い方を覚えることによって、遠くに飛ぶ、バッティングが向上するかもしれないので」

 くしくも同じ背番号51をまとった希代のヒットメーカーの姿も重ね合わせながら自身の進化と成長を思い描いた。

 まだ1日目。理論を浸透させ、実践させていくのはこれからだ。

 「ちゃんとできているか、できていないか確認をしていた。まだまだ伸びる余地がめちゃくちゃあるんじゃないかという選手がたくさんいるので楽しみだと感じた」

 ソフトバンクでは柳田を鍛え上げ、オリックスでは杉本、吉田正と球界を代表する強打者たちの飛躍を後押ししてきた。「今日も(選手は)何を言われてるんだろうという話もあったんで、かみ砕いて、人間ってこう動くでしょということを理解した上で話を進めていきたい」。シンプルに、丁寧に、覚醒の種をまいていく。(遠藤 礼)

 ▼阪神・井上ヘッドコーチ 理にかなった方法を教えてくれる藤井さんがいることはすごく助かる。ベテランから若手まで、みんな藤井さんに意見を求めにいけばいい。

 《4スタンス理論》人の身体特性に応じた適切な体の使い方は、生まれつき4種類存在するという理論。広戸聡一氏が提唱して広まった。スタンス(立ち方)は自然に重心位置が異なり、それを「爪先側(A)」「かかと側(B)」「内側(1)」「外側(2)」のA1、A2、B1、B2タイプに分類。立ち方や体の形、動かす各部位の順序などで選別。4タイプにスポーツのパフォーマンスにおける優劣はなく、個々の特性を理解して体を動かすことで最大限の力を出すことを目指す。

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