阪神1位・森木 “レジェンド”球児の06年球宴「予告ストレート」に衝撃「ああいう真っすぐを投げたい」

[ 2021年10月12日 05:30 ]

プロ野球ドラフト会議 ( 2021年10月11日 )

会見後にポーズを決める高知・森木(撮影・坂田 高浩)
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 「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が11日、都内で開催され、阪神は高知・森木大智投手(18)を1位指名した。高校ビッグ3と称される最速154キロ右腕。幼少期から憧れの存在で同郷のレジェンドOBでもある藤川球児氏(41)に追いつき追い越せで、新たな歴史を築き上げていく。

 モニターをジッと見つめたまま動かない。悔しい!?それとも腹立たしい!?12球団の1位指名が並んだが「森木大智」の名前は呼ばれなかった。市和歌山・小園の競合抽選で外した阪神からようやく指名も、無表情を崩すことはなかった。ビッグ3と呼ばれた中で最後、さらに天理の達よりも後だった。

 「表情を変えないというのは決めていました。悔しい?いえ、タイガースさんから選んでいただいて感謝しています」

 笑顔で、イライラを包み込んだ。もしかしたらマスクの下で唇をかんでいたのを隠して、第一声を発していたのかもしれない。軟式の高知中学で150キロを投げ、世代で最初に、そして最も注目されてきた。高知高では最速154キロまで伸ばしたが、一度も甲子園に出場できなかった。プロの世界では先頭を走ってやるつもりだ。

 保育園の頃、たまたまテレビで藤川球児が投げているのを見て、“すげえ”と思ったのが野球との出合いだったという。土佐市の蓮池小1年でソフトボール、3年生で野球を始めた。火の玉と称される真っすぐに憧れ、悩んだら球児の映像でヒントを得て何度も乗り越えてきた。高知県内の高校からドラフト1位でのプロ入りは、その藤川(高知商)以来だ。

 「まだお会いしたことがないです。お会いしたいですし、たくさんお話をさせていただきたいです。やっぱり真っすぐの感覚だとか聞きたいです」

 06年の球宴で藤川球児が西武・カブレラに予告ストレートで空振り三振を奪ったシーンに衝撃を受けたという。「ああいう真っすぐを投げたい。比べたら、僕のはまだ中途半端です」

 色紙にもしたためる、大好きな言葉がある。『下剋上』――。高知中2年で全国大会で敗れた時に、心に芽生えた感情だ。そして、それが森木の原点でもある。「負けても、はい上がって上りつめたい」。最後の夏、高知大会の決勝で明徳義塾に敗れてからも後輩たちに交じって練習を続けている。プロ野球選手になることがゴールじゃない。「日本を代表するピッチャーになりたい」。きょうも、あしたも歩みを止めない。(畑野 理之)

 《早速ラパンパラ》指名直後、森木は、マルテの本塁打後のパフォーマンス「ラパンパラ」でチームメートと盛り上がっていた。高知中から6年間指導した浜口佳久監督は「仲間たちと、3年間で一度もいけなかった甲子園とをつないでくれたのかな」と聖地を本拠地とするタイガースとの縁を感じていた。森木も「何をしなくてはいけないか勉強しましたし、やるべき方向性を定めてくださった」と恩師に感謝していた。また、現在はヤクルトとシ烈な優勝争いをしているタイガースの印象を聞かれると「投打で波に乗っているチーム」と語った。矢野監督については「ゲームに対する熱い思いを持っておられる方で、自分もそういうタイプなので…。怖い?そんなイメージはありません」と笑った。

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