阪神逆転優勝へ機運高まった! 高橋遥人が巨人相手に13Kでプロ初完封 矢野監督「本当にしびれた」

[ 2021年9月26日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3ー0巨人 ( 2021年9月25日    東京D )

<巨・神(21)>巨人相手にプロ初完封の阪神・高橋(撮影・西尾 大助)
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 阪神の高橋遥人投手(26)が25日の巨人戦で自己最多の128球を投げ抜き、6者連続を含む13奪三振でプロ初の完封勝利を飾った。8回まで二塁を踏ませず9回1死満塁のピンチもしのぎ、菅野との投げ合いを制した。東京ドームで2桁奪三振で巨人を完封するのは球団史上初めて。2試合連続引き分けだったチームを4試合ぶりの勝利に導き、首位・ヤクルトとのゲーム差は0。きょう26日にも首位に返り咲く可能性が出てきた。

 全ての力を出し切り、試練を乗り越えた。3点リードの9回1死満塁、高橋はフルカウントから丸を空振り三振。代打亀井への4球目に、この日最速タイの150キロを計測。再びフルカウントとしたが最後は力ない右飛に打ち取った。何とも言えない笑みが安堵(あんど)を感じさせ初完封の味をかみしめた。

 「なんで最後こうなるのかなと思って投げてたんですけど。1点もあげないで完封したかった。しっかり締められて、めちゃくちゃうれしかった」

 150キロ前後の直球にツーシーム、スライダー、カットボールと全球種を駆使して巨人打線を圧倒。2回2死の中田から4回1死で対峙(たいじ)し内角スライダーで空振りさせ尻もちをつかせた坂本まで自身初の6者連続奪三振で7回を除く毎回の13Kを記録した。攻撃でも8回1死から左前打を放ち、中野の2点二塁打の起点に。昨季3度の投げ合いで1勝2敗だった菅野を降板に追い込んだ。

 「菅野さんと投げ合うときはこういう試合になることが多い。点を取ってくれたんで、応えようと思った」

 どん底に突き落とされた1年目の経験が生きた。18年6月10日ロッテ戦に先発した翌日。「痛くて球が投げられません」と暗い表情で当時の手嶋秀和球団トレーナーに打ち明けた。1軍定着に向け順調に階段を上っていた中での故障。手嶋氏から「一流になっていくためには遥人自身で考えてやらないと」と自発的な行動を求められ、自ら練習メニューなどを考えた。「治るのが遅くなっても、再発するのがよくない」。リハビリは軟らかいボールを握る初歩的なものから始めた。

 約3カ月に及ぶ地道なトレーニングで身についた“考える力”は、今季の故障にも生かされた。腕がダメなら体幹ができる。足は使えるから走り込みは可能。3年前のことを思い出すように鳴尾浜で汗を流し、勝負どころの秋に戻ってきた。

 東京ドームで2桁奪三振での巨人戦完封勝利は球団史上初。矢野監督からも「本当にしびれた。最後は遥人にかけるしかないというピッチングを見せてくれた」と絶賛された。「(故障で)遅れてきている。一試合でも多くチームを勝たせられるように」。頼もしすぎる左腕の快投が、逆転Vへの機運を確かに高めた。(阪井 日向)

〈東京ドームでは初の快挙〉高橋(神)が13奪三振でプロ初完封。阪神投手の巨人戦完封は昨季9月17日の西勇以来。左腕では16年5月27日の岩貞以来5年ぶりで、どちらも東京ドームで記録している。2桁奪三振での巨人戦完封は15年5月20日、甲子園で藤浪が10奪三振で記録して以来6年ぶりだが、東京ドームでは88年の開場から34年目で初の快挙。巨人前本拠地の後楽園時代を含めると79年8月15日、小林繁の10奪三振以来42年ぶり。阪神生え抜き投手では69年6月12日、江夏豊の10奪三振以来52年ぶりだ。

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