阪神が巨人に8失点大敗 矢野監督「自分たちの野球ほぼできなかった」 リーグVへ敵地攻略が鍵を握る

[ 2021年9月20日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神1ー8巨人 ( 2021年9月19日    甲子園 )

<神・巨(19)>巨人に敗れ、厳しい表情でファンにあいさつに向かう矢野監督 (撮影・後藤 大輝)  
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 阪神は19日、甲子園球場では今年最後の巨人戦に大敗し、2位・ヤクルトに1・5ゲーム差への再接近を許した。先制直後の2回に大量7失点。矢野燿大監督(52)にとっては1死二、三塁からの内野前進守備が裏目に出た。2・5ゲーム差に迫られた巨人とは9勝9敗1分けの五分に戻り、残り6度の直接対決はすべて東京ドーム。24日からは3連戦を控え、敵地攻略の成否が16年ぶりリーグ優勝の鍵を握りそうだ。

 甲子園球場では今年最後の戦いを終えた巨人ナインが左翼席前まで足を運び、笑顔でファンに感謝していた。惨敗を見せられた本拠地の虎党にとっては、見たくない光景だった。対戦成績は五分に戻り、残る6度の直接対決はすべて東京ドーム。悲願の優勝へ避けては通れない道が、はっきりと示された。

 「ちょっと流れ的にね、7点は重かったし。菅野も、そんなにすごくいいって感じでもなかったんで、もう一度何とかしたかったけど、ズルズルいっちゃって。自分たちの野球というのが、ほぼできなかったというのが残念かなと」

 “伝統の一戦”で屈辱的なワンサイドゲームを許した矢野監督は努めて淡々と振り返った。残り30試合で迎えた激突の重要さは、もちろん、分かっていた。それだけに采配も手堅く、良くも悪くも慎重になった。結果的に裏目に出た。

 先手を奪った直後の2回に迎えた1死二、三塁の窮地。8番・大城に対して1点を防ぐため内野の前進守備を選んだ。まだ序盤で、菅野も決して好調には見えなかった。それでもリードを守りにいった中で、大城のゴロは二塁の定位置よりやや二塁ベース寄りへ。前に守っていた分、糸原はグラブの先を抜かれ、中前へ転がる逆転打になった。

 「まあ、次もピッチャー(菅野)やしね。うん。(ガンケルは)ゴロを打たすピッチャーなんで」

 淡々と振り返った分岐点からガンケルが打ち込まれ想定外の一挙7失点。事実上、勝負を決められた。

 菅野の状態を考えれば同点OKの守備位置でも…というのは結果論だろう。ただ、優勝争いは終盤を迎えて一戦一戦、特に巨人戦の重みが増していることは間違いない。4・5ゲーム差へ突き放すはずの一戦で逆に2・5差へ詰められた。雲泥の違いだ。

 過去5度のリーグ優勝のうち4度は巨人に勝ち越した前例が残る。猛虎にとっては打倒巨人こそ頂点に立つ条件といっていい。敵地だけが残る直接対決6試合で、どれだけ優勢に戦えるか――。熱く、厳しい、本当の優勝争いのゴングが鳴った。(山添 晴治)

 ○…阪神は巨人に敗れ、今季の対戦成績は9勝9敗1分けの五分となった。過去にリーグ優勝した5度のうち、巨人戦のシーズン負け越しは64年のみ。最後にリーグ優勝した05年以降の勝ち越しは07年しかなく、12年から9年連続負け越し中と分が悪い。残り6試合はすべて東京ドームで、今季同球場では3勝3敗。88年の開場以降、阪神が同球場で勝ち越したのは03~05、07、09、17年の6度しかなく、苦手な敵地で勝ち越せるかがリーグVの行方を左右する。

 ○…首位阪神が負け、2位ヤクルトが勝ったため、両チームのゲーム差は1.5になった。きょう20日は阪神に試合がなく順位変動もない。ただ、21日には2位転落の可能性がある。条件はヤクルトが20、21日の2試合を○○の場合、阪神が21日●か△、ヤクルト○△の場合は阪神●。ヤクルトは今季初の首位浮上となる。

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