急増する広島・大瀬良のガッツポーズ 「一喜一憂したくない」 封印から解放された「主将ガッツ」の力

[ 2021年9月16日 09:00 ]

8月27日の阪神戦、3回1死満塁、大瀬良は大山を二ゴロ併殺打に仕留めガッツポーズ
Photo By スポニチ

 広島・大瀬良大地投手(30)のガッツポーズは、ただの感情表現だけではない。投手主将を務める今季から右拳を握ることが明らかに増えた。故障で約1カ月間の離脱を経験し、チームはBクラスに低迷。順位争いの緊張感が薄れていく中、自身の立ち振る舞いでナインを鼓舞しているように見える。

 ガッツポーズを我慢していた時期があった。「一喜一憂しないため」と19年は3度しかしていない。昨季は少し違った。コンディション不良からの復帰登板だった8月9日の阪神戦。満塁機を切り抜けて、思い切り右拳を握った。「普段見せないガッツポーズをすることで、みんなが何かを感じ取ってくれたらと思った」。周りから見られていることがよく分かっているし、自分の行動次第でチームに勇気を与えられることも知っている。

 そして、体調が万全に近づいた今季の後半戦から、感情をより表に出すようになった。今月3日のヤクルト戦では、0―3の6回2死二塁で川端を空振り三振に仕留めて思い切りグラブを叩いた。劣勢の場面でも見せたガッツポーズに、ナインは諦めない姿勢を見たことだろう。同10日の阪神戦で同点だった5回先頭の打席。2ストライクから際どいコースの変化球を4球連続で見極めて四球を選び、そして右拳を握った。その姿に野手の心は動いたに違いない。

 大瀬良を慕う森下は、今季の開幕直後に「大地さんは、まだまだ遠い存在。大地さんが勝てば、自分も勝ちたいと思える」と口にしたことがあった。大瀬良は、ささいな仕草さえも後輩から見られているような存在である。目標を見失いそうになるシーズン終盤でも、先頭に立って戦う姿勢を見せ続けている。(記者コラム・河合 洋介)

続きを表示

2021年9月16日のニュース