マルテは「ヤク払い」の鬼! 好機で2度凡退も三度目の正直で奇跡弾 虎に“勝ち”あるドローもたらした

[ 2021年9月15日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神4-4ヤクルト ( 2021年9月14日    神宮 )

<ヤ・神(19)>9回、同点3ランを放ち、雄たけびを上げる阪神・マルテ(撮影・大森 寛明)
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 「ヤク払い」の鬼!阪神のジェフリー・マルテ内野手(30)が、14日のヤクルト戦で起死回生の同点18号3ランを放った。3点を追う9回1死一、二塁、ヤクルト守護神・マクガフから左中間席へ値千金の一発。再三の好機にあと一本が出ず、敗色濃厚だった展開を主砲が救い、3・5ゲーム差に付けるライバルとの差を維持した。

 試合終了直後の両軍の表情が、全てを物語っていた。まるで勝ったかのようにハイタッチの列に加わる阪神ナインとは対照的に、ぼう然とグラウンドを見つめるヤクルトナイン。優勝争いのライバルに、ドローという結果以上のダメージを与えた一戦だった。

 「ホームランとかは狙わずに、シンプルに後ろにつなぐだけだった。その前の打席で打つことができなかったから、あの場面でいい結果を出すことができてよかったよ」

 リードを3点に広げられた直後の最終回。勝利の女神は、相手にほほえみかけていた。それでも、誰もあきらめていなかった。制球が定まらない相手守護神マクガフから近本、糸原が四球を選んで1死一、二塁。マルテがこの試合、4度目となった得点圏に走者を置いた打席へ。集中力を研ぎ澄まし、カウント2―1からの4球目を強振。快音を残した打球は、弾丸ライナーで雨中の神宮の夜空を切り裂き、虎党が祈って待つ左中間スタンド最前列に飛び込んだ。

 土壇場で飛びだした2戦ぶりの起死回生18号3ラン。M砲は一塁ベースを回ったところで雄たけびを上げ、右拳を突き上げながら三塁を回り、藤本コーチと力強くタッチして生還を果たした。そして狂喜乱舞の三塁側ベンチで小野寺からメダルをかけられ、こん身のラパンパラを繰り出した。これで本塁打を打ったヤクルト戦は6戦4勝0敗2分け。「ヤク払い」の鬼だ。

 8回までは好機にあと一本が出ない、歯がゆい試合展開だった。マルテも3回1死満塁で見逃し三振。2点劣勢の7回無死一、二塁では今野から左翼ポール際に特大飛球を放つもファウルとなり、結果的に捕邪飛に倒れていた。それでも「引き続き集中することだけを考えていた」と雪辱の機会を待ち、巡ってきた好機で決めてみせた。

 「みんなの諦めない姿勢が今日のような結果を生んだと思う。明日以降もそういった試合ができるように頑張るよ」

 試合終了後、三塁側ベンチから引き揚げる際にも残っていた虎党に向けラパンパラを決め、喜びを分かち合ったマルテに対し、矢野監督も「同点に追いつけたのはすごく価値がある」と最敬礼。まさに“勝ち”ある引き分けをもたらした一撃だった。(阪井 日向)

 ○…マルテ(神)が9回、マクガフから18号同点3ラン。チーム別では巨人戦の5本を抜く最多の6本目(6試合)で、マルテが本塁打を打ったヤクルト戦ではチームは4勝0敗2分けの無傷。今季24本目の殊勲安打は大山の17本に7本差をつけるチーム最多。このうち本塁打は10本目で、同点弾3本の他、先制弾4本、勝ち越し弾1本、逆転弾2本。ヤクルト戦では6本のうち4本が肩書付きと貢献している。

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