ソフトB・森、弟分・甲斐野の存在が心の支えに 「長かった」リハビリ経て…9回を締めるのはやはりこの男

[ 2021年9月4日 09:00 ]

8月21日のウエスタン・リーグ阪神戦で実戦復帰を果たしたソフトバンク・森
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 守護神の復帰が秒読みとなった。左肘関節化膿性滑液包炎の手術から約3カ月。ソフトバンク・森唯斗投手(29)が連投テストに合格した。8月31日、9月1日に筑後ファーム施設でシート打撃に登板。打者計13人と対戦し、1安打、2三振。最速141キロながらも無死球と抜群のコントロール健在だった。

 難病を患い4月29日の1軍登板を最後に4カ月のリハビリ期間を経験。「長かった…。もう味わいたくない。僕は動きたい人間なのでベットで過ごしていると1日経つのが遅い」。24時間泳ぎ続けるマグロに自らを重ねる森にとって苦闘の日々だった。マウンドでは野球ができる楽しさを肌で感じ、「左肘も怖さ無く使えている」。

 笑顔が戻って来た。8月21日ウエスタン・リーグ阪神戦で114日ぶりに実戦復帰すると、2軍ではここまで3試合連続無失点と安定感は抜群だ。

 心の支えになったのは弟分・甲斐野の存在だ。右肘の手術から復帰し、2日楽天戦では守護神の代役を務め2年ぶりのセーブをマーク。ナイター後は甲斐野からのテレビ電話を受け“反省会”が日課となっている。「良かったことも悪かったことも話す」と森。近くにいなくても兄貴分としてアドバイスを送り続けてきた。「ずっと見てますし、今のところいい。あいつにスピードは勝てない。勝てるポイントはコントロールだと思う。そこは負けない自信があるのでしっかりやっていきたい」。球場ではもちろんライバル。「持ち場」を譲るつもりはない。

 チームは後半戦、9回に失点し、勝ちゲームを4試合も逃した。岩崎や板東が、9回のマウンドで苦しむ場面をテレビ越しに観戦していた。「難しさがやっと分かってくれたのかな。どの回も3つのアウトは一緒。相手も必死にやってくるので簡単にはいかない」。7年連続50試合に登板してきた鉄腕の言葉には重みがあった。

 現在、1軍は前半戦の貧打に守護神不在が重なりBクラス。森は「あのままじゃ絶対終われない。気持ちは10割以上。(9回を)もう1回投げたし、奪うつもりでいる。見てて下さい僕の姿を」と頼もしい。逆転優勝には欠かせないピース。9回を締めるのはこの男しかいない。(記者コラム・福井 亮太)

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2021年9月4日のニュース