【市川いずみの届け夏エール】近江・柴田 天国の母へささぐ勝利 ピンチでは伝令としてナイン和ませる

[ 2021年8月24日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権2回戦   近江6ー4大阪桐蔭 ( 2021年8月23日    甲子園 )

<近江・大阪桐蔭>2回途中、伝令でマウンドに向かう近江・柴田隼(右から2人目)(撮影・後藤 大輝)
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 近江の柴田隼君は亡き母に最高の1勝をプレゼントしました。

 19年11月に悪性脳腫瘍で母・尚子さんが37歳で他界。「とにかく野球が大好きで、甲子園に連れていくと約束していました」。野球を始めた小学1年から中学3年までは、所属したチームのマネジャーとして毎試合一番近くでスコアを書いてくれました。

 「なんで、ここで打てへんの?」

 「知らんやん!」

 帰宅後は2人での反省会が日課でした。大好きなお母さんが最後に応援に来てくれたのは中学3年の夏。「よう頑張ったなぁ」。車いすに座った母からの言葉は今でも原動力になっています。

 今冬、打撃の調子が上がらずに投げ出したくなった時がありました。鼓舞してくれたのはスマートフォンの待ち受け画面でほほ笑む尚子さんでした。「もっと頑張らなあかんやろって言われている気がして、泣きながらバットを振りました」。始発で登校し、終電の時間までグラウンドでバットを振り続けました。

 「大阪桐蔭に勝ったら、お母さん、めっちゃ喜ぶと思います!」と挑んだ2回戦。ピンチでは伝令としてナインを和ませました。仲間の活躍は「うれしいけど、自分も打ってみたい」。次戦は盛岡大付。約束の場所での活躍を尚子さんも楽しみにしているはずです。

 ◇市川 いずみ 京都府出身のフリーアナウンサー。山口朝日放送時代に高校野球の実況で「ANNアナウンサー賞最優秀新人賞」を受賞。高校野球検定に合格し自宅に甲子園の土を飾るほど生粋の高校野球好き。

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