楽天・島内、10年ぶり東北球宴で運命のMVP 11年のドラ6、初舞台で3安打3打点の“底力”見せた

[ 2021年7月18日 05:30 ]

マイナビオールスターゲーム2021第2戦   全パ4ー3全セ ( 2021年7月17日    楽天生命 )

<全パ・全セ>両頬に「○」のペイントを施しインタビューに応じる島内(撮影・白鳥 佳樹)
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 「マイナビオールスターゲーム2021」の第2戦が17日、楽天生命パークで行われ、全パが4―3で勝利。2試合を1勝1敗で終え、通算86勝80敗11分けとした。東日本大震災が発生した11年以来10年ぶりの同球場での開催で、島内宏明外野手(31)が決勝打を含む3安打3打点でMVPを獲得。則本昂大投手(30)が救援で2回無失点に抑えるなど地元球団の選手が躍動し、まだまだ復興途上の東北に明るい話題を届けた。

 おちゃらけたイメージの男が感極まり、言葉を詰まらせた。10年目で初出場の球宴。地元のファンの前でMVPも獲得できた。受賞インタビュー。全パの島内は「震災から10年がたちました。僕も10年目でこういう場所でヒーローになれて良かったです」と素直な気持ちを言葉に乗せた。

 シーズンではユーモアたっぷりな試合中のコメントを出すなど、ひょうきんなイメージが強い。今回の球宴でも2日連続で人気漫画「バトルスタディーズ」の主人公を模して光の反射を抑える目の下のアイブラックを「○」と「×」にペイントしてプレー。ただ、やるときはやる。初回に中前打を放つと1―1の3回は右前適時打。最後は8回1死一塁で決勝打となる右翼線二塁打を放ち、リーグトップ66打点の勝負強さを存分に見せつけた。

 地元での球宴で楽天から7選手が選出。体調不良で田中将と浅村が欠場したが、代わりにファンを楽しませた。途中出場だった前日の第1戦は、8回の球宴初打席で中前打を放った。2試合で5打数4安打3打点。「楽天の王(将)と飛車がいなくてファンの皆さんも寂しかったと思うけど何とか結果で盛り上がってくれて良かった」と胸を張った。

 震災が起きた11年のドラフト6位で入団。2年目の13年に主力として球団創設初のリーグ優勝と日本一に貢献した。仙台で日本一が決まった瞬間にスタンドに咲いた笑顔と、上空から降り注いだ涙雨。身をもって知った。野球には人々の魂を揺さぶる力がある。

 「被害に遭った人たちが、野球で少しでも(震災の記憶を)忘れることができれば」。夢の舞台で打って、走って、何より楽しんだ。体現したメッセージは復興に向けて歩む人々、そして東北の未来を担う子供たちに伝わったはずだ。(重光 晋太郎)

 ≪楽天が史上初の“4部門独占”≫島内(楽)が決勝二塁打を含む3安打3打点でMVP。楽天選手の勝利打点とMVPは、ともに08年第1戦の山崎武司(サヨナラ打)以来13年ぶり2人目だ。また、楽天打者の猛打賞は島内が初で、ゲーム3打点は05年第1戦の礒部公一、07年第2戦の山崎の各2打点を抜く最多になった。なお、この日は勝利投手が宋家豪、セーブが松井の楽天勢。球宴で勝利投手、セーブ、勝利打点を本拠地球団の選手で占めたのは、75年第1戦の甲子園で阪神勢の江夏豊が勝利、安仁屋宗八がセーブ、藤田平がV打を記録して以来46年ぶり2度目だが、この時のMVPは山本浩二(広)。MVPを含む4部門独占は楽天が初めてだ。

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