新井貴浩氏 阪神の強さ印象づける一戦 交流戦で自信深め、相性悪いメルセデスにも積極的な打撃できた

[ 2021年6月19日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神7―1巨人 ( 2021年6月18日    甲子園 )

新井貴浩氏
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 【新井貴浩 視点】阪神の強さを印象づける一戦だった。交流戦でパの好投手に勝って、チームとして自信を深めたのだろう。分の悪いメルセデスに対して早いカウントから積極的な打撃ができた。直球がカット気味に入ってくるので右打者の方が難しく、引きつけて逆方向へ…では余計に詰まってしまう。2回の梅野、3回の大山も引っ張って安打にした。ポイントを少し前にして引っ張っていい…という意思統一があったように思う。

 勝負を決定づけたのは3回のサンズの満塁弾だ。初球に外角スライダーをファウル。高めだが、コースはいいところ。その球にサンズが反応した中、巨人バッテリーは外角スライダーを続けて痛打された。リスクを負ってでも、内角へ突っ込んでいかないと抑えるのは難しい場面だった。

 対照的に梅野は視野が広い。3連戦の初戦。この1試合だけでなく、前カードからのつながりや第2戦のことまで考えているだろう。立ち上がりは西勇が得意とする右打者への内角ツーシームが少なかった。交流戦を挟んで約1カ月ぶりの対戦。あえて普段とは違う入り方をして打者の反応を試したように見えた。2死満塁で中島を迎えたところでは初球に内角ツーシームで三ゴロ。勝負どころを分かった攻め方だった。

 長いペナントレースでは勝敗だけでなく「勝ち方」と「負け方」が大事になる。巨人は相性が良く、しかも好調のメルセデスを立てて完敗した。阪神を追いかける上で、この1敗はダメージの残る「負け方」だと思う。(スポニチ本紙評論家)

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2021年6月19日のニュース