西武・平良 日本新!開幕から32試合連続無失点 “永遠の0侍”五輪も任せた

[ 2021年6月14日 05:30 ]

交流戦   西武4―3中日 ( 2021年6月13日    メットライフD )

<西・中>開幕から32試合連続無失点の日本プロ野球新記録を達成し、無表情のままガッツポーズする平良(撮影・尾崎 有希)
Photo By スポニチ

 若きリリーバーが金字塔を打ち立てた。西武の平良海馬(かいま)投手(21)が13日、中日戦で1点リードの9回に登板。1安打無失点に抑え、中日・田島慎二投手(31)を上回って開幕から32試合連続無失点のプロ野球新記録を樹立した。東京五輪の侍ジャパン有力候補で、最速160キロを誇る昨季のパ・リーグ新人王が、セの強打者たちも圧倒して到達した。

 152キロの直球に代打・木下拓のバットがむなしく空を切り、この日一番の拍手が21歳の剛腕を包み込んだ。平良が1点リードを守り切り、開幕から32試合連続無失点。プロ野球新記録を樹立した。

 「日本記録になってうれしいです。1点取られたら同点なので、0点を意識しました」

 開幕から2カ月半。チーム63試合の半分を超える32試合に登板し、スコアボードに「0」を並べてきた。開幕当初に比べると、危なげないわけではない。5月29日の阪神戦から7試合連続で走者を背負った。だが、要所でギアを上げ、走者の生還は許さない。この日も先頭のビシエドに遊撃内野安打とされたが「球数を投げたので、温まってきました」とサラリ。無死一塁で日米通算2424安打を誇る44歳の福留を143キロカットボールで三邪飛。続く堂上を131キロスライダーで空振り三振に仕留め、反撃ムードをしぼませた。

 本拠地の埼玉・所沢から南西に約1900キロ離れた沖縄・石垣島出身。「竜が落としたような強い子になってほしい」と「タツノオトシゴ」の意味を持つ「海馬」と命名された。魚釣りが趣味で、釣った魚は自らさばいて食べるほど。しかし、マウンド上では走者を背負っても動じない右腕にも「海は怖くてあまり入っていない」と臆病な一面がある。

 理由は明白だ。「毒魚がいると怖いから」。フグ、アカエイ、ミノカサゴ…。故郷の海には猛毒を持つ魚が多く棲息。それを知った平良少年は慎重に海辺で遊んだ。しかし、それも今は昔――。プロ野球という大海にドラフト4位で飛び込み、4年目で躍動している。ソフトバンク・柳田を「見たことがない投手で打てなかった」と脱帽させるなど、既に名だたるスラッガーを恐れさせる存在だ。

 7月に開幕する東京五輪で侍ジャパン入りが有力。阪神・藤川の持つ、「開幕から」を除いた38試合連続無失点も視野に入れ「0点に抑えることが100%の仕事だと思う。そっちも超えられるように頑張ります」とうなずいた。「平良無双」はまだ始まったばかりだ。(花里 雄太)

 ≪16年の中日・田島超え≫平良(西)が開幕から32試合連続無失点。並んでいた16年の田島(中)を抜き2リーグ制後の最多記録を更新した。開幕に限らない連続試合無失点記録は06年の藤川球児(神)の38試合。球団記録はパ最長でもある03年の豊田清の34試合だが、平良はどこまで伸ばせるか。

続きを表示

この記事のフォト

2021年6月14日のニュース