周東をワナにかけた広島・栗林 “快足封じた”頭脳的クイック!! 球団タイ開幕21試合連続無失点 

[ 2021年6月9日 05:30 ]

交流戦   広島1-1ソフトバンク ( 2021年6月8日    ペイペイD )

<ソ・広1>マウンド上で横山コーチ(右)タッチをする広島・栗林(撮影・中村達也)
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 広島・栗林良吏投手(24)が8日のソフトバンク戦で開幕から21試合連続無失点へ伸ばし、13年河内貴哉の球団記録に並んだ。同点の9回に登板し、初めて複数安打を許しながら「0」を刻んだ。大瀬良大地投手(29)も復調の7回1失点。投手陣の奮闘で7度目の引き分けに持ち込んだ。

 技術の詰まった零封だった。同点の9回。栗林は先頭の柳町に中前打を許し、代走・周東と背中越しの戦いを強いられた。リーグ2位の16盗塁を誇る球界屈指の俊足。打席には強力な中軸も迎えた。難局だった。

 「広輔さんがマウンドに寄って来てくださって“足が速い走者だけど、そこにとらわれ過ぎないように”と助言をいただいた。打者に集中できました」

 駆使したのは間合いだ。まず、けん制を入れてから、3秒以上もかけて1球目を投げた。2球目も3秒以上の間合い。カウント1―1から、けん制後の3球目は一転、セットポジションに入った瞬間にクイックで投げた。2―2からの5球目は、けん制後に再び4秒…。一度もスタートを切る余地を与えず、栗原を中飛に仕留めた。

 無死で走れなかった周東の焦りは、思うつぼだった。柳田の打席では1ストライクからけん制を挟み、2球目に外角高めへ外し、わなをかける形で二盗を刺した。柳田には中堅左へ痛打。一気に二塁を狙った走塁がリクエストによるリプレー検証でアウトへ覆り、引き分けた。複数被安打は初めて。周東が残っていたら、無失点はなかったかもしれない。

 「なかなか空振りを取れない中で、会沢さんが上手にリードしてくれた。その中でバッテリーでアウトを積み重ねていけたのは良かったと思います」

 普段は打者に「間合い」を利用している。社会人時代からセットポジションに入ってから球を長く持つことが増えた。「相手がイライラするかもしれない」というのが理由だ。今春オープン戦、初めて対したプロの打者が構えに入るまでの間の長さに逆に悩んだ。開幕後は「いまはそこも楽しい」と周囲に明かしたことも。常に間合いを意識しているからこそ、今回のように走者にも応用することができたのだ。

 「今日は点を取られてもおかしくない展開だった。そういう意味ではまだ運が残っているのかなと思う」

 開幕から21試合連続無失点は球団タイ記録。肩を並べた河内氏は球団広報として接する間柄だ。「本当に助けていただいています」。記録に並んだことで感謝を伝える機会にも恵まれた。(河合 洋介)

 ○…栗林(広)が9回の1イニングを2安打無失点。開幕から継続中の無失点試合を21とし、13年河内貴哉に並ぶ、開幕からの球団最長記録となった。2リーグ制以降の開幕最長は16年田島(中)の31試合。今季平良(西)が29試合でパ・リーグ記録を更新中だ。なお開幕からに限らない連続試合無失点の球団記録は、12年今村の5~8月にかけての29試合。

 ▼広島・佐々岡監督 (栗林は)後ろの投手として求められるクイックなり、間を本当によく考えて投げている。しっかり冷静に周東を刺すというのも(会沢との)素晴らしいコンビだった。

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