注目していた阪神・マルテ 前日に力を抜いた走塁 当たり前にやれることをやらないのは“失策”

[ 2021年6月6日 08:00 ]

交流戦   阪神2ー10ソフトバンク ( 2021年6月5日    甲子園 )

<神・ソ>3回1死一塁、マルテは左中間に先制の2点本塁打を放つ(撮影・後藤 大輝)
Photo By スポニチ

 【畑野理之の理論】痛い逆転負けだ。2―0の6回に伊藤将司が3失点したのは打たれた結果なので仕方がない。しかし、3つの失策が絡んだ7回と8回の計6失点は、本当にもったいない。一気に試合がこわれた。

 現役時代、ヤクルト、巨人、そして阪神でリーグ優勝、日本一を経験している本紙評論家の広澤克実は、かねて強いチームの定義として、こう話していた。

 「ミスは誰でも必ずしてしまうもの。ミスをした方が負ける…とよく言われるが、正確にはミスをしても取り返せない方が負ける…ということ。自分自身が次のプレーで取り返すこともあれば、周りの選手や、投手または野手の関係などでチームプレーで取り返してもらうこともある」

 その意味でこの日、注目していたのがジェフリー・マルテだった。いつミスをしたのか? 実は1つ前の試合の4日のソフトバンク戦、8回先頭の打席で遊ゴロを放ったが、一塁へ完全に力を抜いて走っていた。遊撃・今宮健太が少しはじき、全力疾走していたらセーフになっていたため余計に目立ってしまった。

 記録には残らないし、勝敗には影響しない状況だったのでスルーしたらいいのかもしれないが、開幕から走攻守に全力プレーで頑張っていただけにあの走塁は気になってしまう。うがった見方だと言われるかもしれないが、ポジション争いに必死だったところから、新外国人のロハス・ジュニアが打撃不振で2軍降格になった時期と重なるだけに気が緩んだのでは??と邪推してしまう。

 疲れていたのなら積極的休養を取ればいいし、もしも緩慢プレーだったのならばチームの勢いに水を差す前に外した方がいい。今季の一塁守備での3失策は広澤氏の言うように野球だから仕方がないが、当たり前にやれることをやらないのは、これも“失策”だと思う。

 果たして、この日のマルテは…。初回にフルカウントからの8球目カーブを見逃しての四球。3回は先制の10号2ランを左中間へ放り込んだ。5回の中安打も、中堅・真砂勇介がそらしたのを見て、二塁をうかがうオーバーラン。守備でも6回先頭の栗原陵矢の一、二塁間のゴロに反応するなど集中力は高かった。一夜で反省し、気を引き締め直したのだと信じたい。

 ○●のオセロが8セット続き、またも連勝はならなかったが、きょう6日の第3戦は順番通りなら○の番。この日終盤に失策を犯した、大山悠輔、中野拓夢、近本光司の3選手がきっと取り返してくれるでしょう。=敬称略=(専門委員)

続きを表示

2021年6月6日のニュース