ヤクルト・石川 積み重ねた174勝の中で「今日が一番思いがある一勝」 大卒初の20年連続白星

[ 2021年6月5日 05:30 ]

交流戦   ヤクルト10ー1西武 ( 2021年6月4日    神宮 )

<ヤ・西>今季初勝利の石川(左)はつば九郎と笑顔でガッツポーズ(撮影・村上 大輔)
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 大卒初の20年連続白星。ヤクルト・石川は開幕ローテーションを外れ、今季初登板となった4月16日の阪神戦では5回2失点で敗戦投手となった。再びファームから出発し、打ち立てた金字塔。格別な喜びがあった。

 「いろいろなことを考え、試行錯誤しながらの今日の一勝。一番、思いがある一勝なのかなと思います」

 1メートル67と野球選手の中では小柄。41歳と年を重ね、この日の最速は136キロ。それでも勝てるのは精密機械のような制球力を備えるから。前夜から雨が降り、試合途中は強まる中での無四球。3ボールも一度だけだった。

 「自分らしい投球ができた」とさらりと言うが、相手は2投手で計7四球。石川は投手有利のカウントで試合を支配する。降雨コールドで5回3安打1失点、59球の「完投」。「昔からのスタイルをマイナーチェンジしながら、今も勝てる投球をできる石川は凄い」と高津監督。3度の打席でいずれも初球を投犠打し、攻撃にもリズムを生み出した。

 「いまだに何が正解か分からずやっている」。湧き出る探究心は衰えない。自身や他投手の動画を見たり、評判を聞けばピラティスも取り入れた。「目の前を必死にやった結果が20年。自分自身の気持ちが、まだまだ折れていない」。向上心も高まる一方だ。

 家族の存在がある。高1の長男・大耀(だいや)君、中1の次男・栄寿(えいす)君はファーム暮らしの父を気遣い自宅では野球を見なかった。「見たいのに、見ないようにして悪いなと」。この日、妻と2人の子供は自宅でテレビ観戦。感謝の思いとともに「まだまだ、父ちゃん一年でも長くやりたいぞ」と勇姿も届けた。

 41歳4カ月の勝利は球団最年長。「ユニホームを着て野球ができている幸せは、年々凄く感じます」。あと26に近づいた目標の200勝は、決して不可能な数字ではない。(川手 達矢)

 《杉内に次ぐ交流戦25勝》石川(ヤ)が今季初勝利をマーク。プロ1年目の02年から20年連続勝利となった。20年以上連続勝利は工藤公康(横浜)、山本昌(中)、三浦大輔(D)の23年を筆頭に12人目だが、過去11人はいずれも高卒か高校→社会人出身で大卒では初めてだ。

 また、プロ1年目からは7人目で米田哲也(近鉄)の22年、小山正明(大洋)の21年に次ぎ、金田正一(巨)ら4人に並ぶ3位タイ。なお、41歳4カ月での白星は92年8月16日の巨人戦での新浦の41歳3カ月を抜く球団最年長記録。また、交流戦通算25勝は杉内俊哉(巨)の26勝に次ぐ2位タイとなった。

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