楽天・田中将、消えたある仕草

[ 2021年5月2日 15:46 ]

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楽天・田中将(撮影・篠原岳夫)
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 気になっていた仕草は消えていた。あくまで仮説だが、それは上昇の理由を解き明かすヒントなのかも知れない…。

 楽天・田中将大投手(32)が1日のロッテ戦(楽天生命)で今季2勝目を挙げた。今季初めて100球越えの106球を投げ、6回5安打無失点。6奪三振の内容だった。「どの球種も飛び抜けたものはなかったけど、飛び抜けてダメだったこともなかった。うまく色々な球種を使いながら抑えられた」。試合後に更新した、公式YouTubeチャンネル「マー君チャンネル 田中将大」で田中将は振り返った。

 2日の投球で顕著だったのは直球が増えたこと。初登板だった17日に約27%だったものが、4月24日の前回登板での約31%を経て、今回は約38%まで増加。ロッテ打線の変化球狙いを逆手にとったなど、様々な分析が行われた。

 前回までの2度の登板時に気になる仕草があった。初登板の4月17日、東京ドームでの日本ハム戦。イニングの合間、三塁ベンチ前でキャッチボールしていた田中将のある動きだった。ノーワインドアップモーションの構えから始動。左足を少し上げたところで動作を止め、構えの姿勢に戻り、左足を上げるところからやり直した。「少し上げたところ」とは、左足の裏が地面から離れた瞬間、というほどの段階。おそらく、左足を上げて右足に体重移動する初期段階の感触が、しっくりこなかったのではないか。

 4月24日、楽天生命での西武戦。この試合では投球練習時のマウンドで、同じ仕草があった。どちらもやり直す時に「違う、違う」というように小さく首を横に振っていた。

 田中将は3月末に右ふくらはぎを痛め出遅れた。2度目の登板まではその影響が残っていたのだろう。右足に乗せる瞬間の感触が、イメージ通りではなかった。3度目の登板だった1日は、その「やり直し」は見受けられなかった。投球時の重要なポイントの1つ「軸足で立つ」違和感がなくなったのだろう。その表れが直球だった。最初の2登板よりも低めに制球される直球が格段に増えた。ただ直球の割合が増えただけではなく、意図通りの直球が増えたことを裏付けるデータだと受け取っている。

 野球の取材、特に投手を観察する時は投球自体も大事だが、投球の合間の仕草はいろいろなヒントを与えてくれる。メジャー移籍以来、多彩な変化球が注目を集める右腕。3度の登板で「原点」はやはり直球だと感じている。(記者コラム・春川 英樹)

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2021年5月2日のニュース