日本ハム・杉谷 今季初安打よりも先にお立ち台 「振るな!」の声に反応、押し出しサヨナラ勝利

[ 2021年5月2日 05:30 ]

パ・リーグ   日本ハム5―4西武 ( 2021年5月1日    札幌D )

<日・西>9回2死満塁、サヨナラ四球の杉谷を出迎える選手ら(撮影・高橋茂夫)
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 土壇場。3点差を追いついてなおも2死満塁だ。緊迫の場面。だが、札幌ドームには失笑も入り交じった。日本ハムベンチから声が飛ぶ。「バット振るな!」。左打席に立っていた杉谷からはナインの表情も丸見えだった。カウント3―0からの4球目。内角への直球も外れてストレートの四球で、押し出しサヨナ勝利が転がり込んできた。

 「なんか、すみません!こんな状況ですが、全員の力が9回に結集されて僕のところに回ってきた。ベンチから全員の“バット振るな”って声に反応できた」

 杉谷はこれで今季11打数無安打も、お立ち台に上がった。「まだヒットが出ていないので、お立ち台に上がっていることすら不思議」。劇勝に明るく努めたが、チームは危機的状況だった。前日、西川ら主力3人の新型コロナウイルス感染が判明。浅間も濃厚接触の可能性があるとして出場選手登録抹消となった。オフだった2軍の千葉・鎌ケ谷から緊急招集されたのが杉谷、平沼、宇佐見だった。さらに試合前には今川が再検査を要すため出場選手登録を抹消され、郡ら3選手がベンチから外れていた。

 野手の控えは4人のみという状況で、序盤から劣勢だった。その状況を打破したのが緊急招集組だった。平沼が9回先頭で右前打し、中田の反撃2ランをお膳立て。なおも9回2死一、二塁から途中出場していた宇佐見が四球を選び、杉谷につないだ。栗山監督も「本当によくつないでくれた。あんなに(交代の)カードがなかったのは久しぶり。ファームで彼らが一生懸命やっていたのは見ていた」と称えた。

 9回に3点差以上のサヨナラ勝利は、球団では95年以来、26年ぶり。ベンチ入りは投手を含めて22人で、残っていた野手はコーチ兼任の鶴岡だけだった。

 「この1勝で終わらず、またチーム一丸となってみんなで乗り越えていけたら」。試合後にはさらなる陽性者が発覚したが、最下位チームの意地の1勝だった。(東尾 洋樹)

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