番長DeNA開幕9戦目で監督1勝 目を潤ませ「長かった」「熟睡できなかった」

[ 2021年4月5日 05:30 ]

セ・リーグ   DeNA3-1広島 ( 2021年4月4日    横浜 )

<D・広>勝利しスタンドに向かってあいさつする三浦監督(撮影・島崎忠彦)
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 涙の監督初勝利だ。DeNAは4日、広島を3―1で下し、2分けを挟んだ開幕からの連敗を6で止めた。三浦大輔新監督(47)は開幕から9試合目で待望の初白星。先発した4年目の阪口晧亮投手(21)が5回を3安打無失点に抑え、プロ初勝利を挙げた。負ければ球団ワーストで、2リーグ制後の新人監督ワースト記録ともなった開幕7連敗を免れ、2021年のスタートを切った。

 霧雨が舞う横浜スタジアム。勝利の後、三浦監督は目を潤ませた。ファンの姿を見て泣いたのは引退試合を行った16年9月29日以来だろう。喜ぶファンに手を上げて応えた。

 「(涙は)雨じゃないですか」。照れくさそうに言った。「でも柄にもなく、うれしかった。ファンを見てね。長かった。一つ勝つ大変さを改めて凄く感じた」とかみしめた。

 投壊を止めたのは高卒4年目の右腕だった。阪口は19年の投手コーチ、昨季の2軍監督時代に育てた秘蔵っ子。開幕ローテーションから外れたが9戦目の先発を託した。最速152キロの直球に三浦監督の得意球であり、指導も受けたスローカーブを織り交ぜた。5回を3安打無失点でプロ初勝利。「僕自身が勝てていなかったのと三浦監督の初勝利も重なって感極まった」と両手で顔を覆った。ウイニングボールを指揮官から手渡され「僕は監督にと思ったんですが“せっかくだから”と。女手一つで育ててきてくれた母に渡します」と感慨に浸った。

 三浦大輔ほど負けの数だけ強くなれた男はいない。現役時代は172勝を挙げた一方で184敗。「マウンドの借りはマウンドでしか返せない」と言い続け、やり返してきた。白星を上回る黒星は勲章だ。開幕投手でもプロ野球ワーストの7連敗を喫し、一度も勝てなかった。3月26日の巨人との開幕戦。3回6失点KOされた浜口には「これを経験にしろ。やり返すチャンスはある」と伝え、奮起させた。6連敗中に打たれた山崎や守護神の三嶋をこの日も「信じて(マウンドに)送り出した」と言い、2人はリードを死守した。

 連敗中、三浦監督は「熟睡できなかった」と振り返ったが、「(胃薬は)まだ飲んでいません」と笑う。球場入りは試合開始7時間前。人けのない本拠地の観客席を黙々と走り、試合の構想を練った。開幕から9試合目でつかんだ初勝利。「全員で手にした勝利。1つ勝っただけかもしれないけど、この勢いを続けたい」と力を込めた。ハマの番長はスローガン「横浜一心」の下で、ここから「成り上がり」を狙う。(大木 穂高)

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