赤星憲広氏 サヨナラ勝ちへ導いた「2人のヒーロー」 四球選んだ原口、確実にバント決めた北條

[ 2021年4月4日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神1ー0中日 ( 2021年4月3日    京セラD )

赤星憲広氏 
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 【視点 赤星憲広】9回に代打で登場した原口と北條の2人を勝因に挙げたい。原口は先頭で四球。2球で追い込まれた後もタイミングはまったく合っていなかったものの3度のファウルで粘り9球目を選んだ。普段は走者を還すのが仕事だが、この日与えられた仕事をよく理解した「最高の四球」だった。

 無死一塁となったことで北條に出番がきた。最もプレッシャーがかかる「ピンチバンター」。三塁手が猛烈にチャージしてくる中で、初球こそファウルにしたがカウント2―1からきっちりと打球を殺した。代走に足の速い熊谷が送られており、転がしさえすれば何とかなる…という打者と走者の信頼関係がこの難しい状況での犠打を成功させた。原口と北條も、サヨナラ打を放った山本や先発の青柳に肩を並べるヒーローだった。

 今の北條には厳しい言い方になるが、スタメンも代打も守備固めもなさそう。この日のような厳しい場面でバントを決めていくことで26人のベンチ入りメンバーに食らいつくしかない。それでも競った展開で総動員の戦いになれば、必ずその器用さ、いやらしさは欠かせない戦力になる。

 9回打ち切りの特別ルールが勝敗のあやになった。中日は9回2死無走者で柳に打席が回り、代打を送った。当然の策。ただ、延長戦もあればそのまま柳が打席に立っており9回裏のサヨナラもなかったかもしれない。それほど柳は良かった。

 阪神も9回1死二塁で近本に代打陽川。近本が不振とはいえ延長の3イニングがあれば中堅レギュラーを引っ込められたかどうか。初戦は救援陣が打たれての逆転負けだっただけに引き分けではなく、勝利した結果は大きい。(スポニチ本紙評論家)

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2021年4月4日のニュース