広島の新助っ人が憧れる意外なレジェンドとは クロン単独インタビュー「自分は好打者」

[ 2021年2月6日 09:30 ]

バットを手にガッツポーズする広島のクロン (撮影・奥 調)
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 広島のケビン・クロン内野手(27=ダイヤモンドバックス)が5日、キャンプ地の沖縄でスポーツニッポンの単独インタビューに応じた。主砲・鈴木誠と積極的に打撃論を交わし、旺盛な向上心と勤勉さを併せ持つ新大砲候補。憧れの選手には意外な日本人メジャーリーガーの名前を挙げ、チームのV奪還に貢献する強打を誓った。(構成・江尾 卓也)

 ――日本での生活、カープの春季キャンプはいかがですか?
 「まずはカープ球団に感謝しなければいけません。文化や生活スタイルが全く違う日本に来て、球団のサポートのおかげで自分が思っていたよりも早く適応できたと感じます。カープを選んで良かった。キャンプでもチームメートが非常にフレンドリーで、やりやすい環境をつくってもらっています。問題なく適応できています」

 ――キャンプ初日から鈴木誠選手と積極的に会話していますね。
 「リーグトップの選手がチームに居るのは大きなチャンス。打撃を見たり、会話すること自体が勉強だと思っています。スイングする際のバランス、間合いの取り方、下半身の使い方は参考になるので、学んで取り入れたいと思っています」

 ――複数の選択肢があった中で、カープを選んだのはなぜですか?
 「日本で野球をしたい気持ちはずっとありました。日本のチームがホームラン打者を欲していると聞いていましたし、自分はフィットできるだろうと考えていました。なぜなら私にはパワーがあります。いろんなチームから声を掛けられていましたが、カープを選んだのは私に興味を持って熱心に勧誘してくれたからです。熱意が一番だったので迷いなく選びました」

 ――新型コロナ感染が広がり、米国のプレー環境にも制約があったと思います。実戦勘に不安はないですか?
 「与えられた試練なので、ゲーム勘が無くなると思ったことはないです。できる限りのことをして体を動かしてきましたし、長く野球をやっているので、この1年間で少々できなかったからといって全てが変わるわけじゃない。逆にそこはポジティブに考え、いろんな面を見つめ直す期間と考えて過ごしてきました。春のキャンプで練習する時間を与えられていますし、春の実戦で十分に取り戻せると思っています」

 ――実際に昨季は何試合に出場を?
 「メジャーでは8試合に出場しています。ただ、マイナーでは普段の対戦こそ無かったけど、シート打撃など実戦形式の打撃をよくやっていましたので、ゲーム形式をプラスすれば50~60打席は立っているはずです」

 ――19年には3Aで本塁打王を獲るだけでなく打率・331を残しました。ご自身はどんなタイプの打者だと?
 「自分自身を表現するなら、パワーヒッターと言うよりも好打者と言いたいです。なぜなら、バットにうまく当てさえすればヒットにつながるし、芯に当てればサクを越えていく。本塁打だけと言うより、好打者という位置づけで捉えたいと思っています」

 ―1年目の数字的な目標を教えてください。
 「数字を挙げると、そちらに気を取られてしまうので、チームの勝利にこだわり、集中したいと思います。打点を挙げることによってチームが勝つチャンスが増える。それも個人のことですが、チームの勝利にいかに貢献できるか。勝ち続ければ、数字は上がってくると思っています」

 ――憧れのプレーヤーや目標のプレーヤーはいますか?
 「幼い頃に、イチローがアメリカに来ました。私とはタイプが全く違いますが、その頃の憧れはイチローでした。彼はスピードがあって、打撃技術もすごく高い。私は体が大きいので速くは走れませんが、リトルリーグでは51番を付けていたぐらい、イチローのことが大好きでした」

 ――意外ですね。
 「(うなずき)成長して体が大きくなり、野球選手としてのスタイルが確立され始めた頃は、やはりパワータイプの打者に目が行きました。ミゲル・カブレラ、アレックス・ロドリゲス、ジャスティン・アップトン。その3人が好きでした。彼らに共通するのはアベレージも残せるし、ホームランも打てる。そういう打者です」

 ――実兄のクリストファー・ジョン・クロン選手は現役のメジャーリーガーですが、影響は受けましたか?
 「兄とは競争意識をもって暮らしてきました。家の裏に打撃ケージがあったので、その中でどれだけ遠くに飛ばせるか、ペッパーをどれだけうまくできるかとか、必ず競争していました。父が野球選手だったので、練習に付いて行って外野で打球捕、どちらが数多くフライを捕れるかという競争もしていましたし、野球に関する全てのことを兄と競争していました」

 ――お父様はクリス・クロン氏ですね。
 「ええ。現役時代はホワイトソックス、エンゼルスでプレーしています。コーチもホワイトソックス、タイガース、ロッキーズ、ダイヤモンドバックスの4球団で務め、その当時も球場に連れて行ってもらい、遊びで野球をやっていました」

 ――その環境で、プロ野球選手になるのは必然と言えますね。
 「イエス。野球と一緒に育ってきました。しかもプロ野球の環境ですね。幼い頃から練習に入れてもらい、フィールドで遊び、バットボーイもやらせてもらいました」

 ――お父さんやお兄さんは、日本でプレーする決断をどう受け止められたのでしょう。
 「とても喜んでくれましたし、“行って来い”と背中を押してくれましたね。なぜかと言うと、日本の野球環境、日本の1軍はメジャーリーグに近いレベルにあると知っているからです」

 ――どんな言葉を贈られましたか?
 「メジャーに近いレベルの環境で野球ができる、そしてまた違う国に行って何か新しいものを発見できる環境に身を置くことは、お前の野球人生で必ずプラスになるし、人生の中でもプラスになることがたくさんあると思うので、経験してきなさい…と送り出されました。私自身も、日本でたくさんのことを学ぼうと思っていますので、何か新しいことを発見したら、持って帰って彼らに伝えようと考えています」

 ◆ケビン・クロン 1993年2月17日生まれ、米カリフォルニア州出身の27歳。高校時代の11年、ドラフト3巡目(全体92位)でマリナーズから指名を受けたが契約せず大学進学。14年ドラフト14巡目(全体420位)でダイヤモンドバックスと契約。19年5月24日のジャイアンツ戦でメジャーデビューし、通算47試合で打率・170、6本塁打、16打点。メジャー通算118発のCJ・クロン(タイガースからFA)は実兄。1メートル95、115キロ。右投げ右打ち。

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